書評books 意外に分かる本、みことばを愛するすべての人へ

『みことば 第6号 聖書翻訳の研究』

『みことば 第6号 聖書翻訳の研究』
新日本聖書刊行会編
A5判・86頁 定価1,100円(税込) いのちのことば社

日本福音キリスト教会連合 都賀キリスト教会牧師 櫛田信

本書は、聖書翻訳の研究成果を発表する『みことば』誌のシリーズ六冊目です。三人の若手研究者たちの、ヘブル語旧約聖書の翻訳に関する小論文が掲載されています。
平田裕介師は、ヘブル語動詞「ヤーラシュ」の聖書全体での用法、訳語を検討し、その上で、申命記・ヨシュア記で「所有する」「占領する」と訳されている場合に絞って、「得る」「手に入れる」という別の訳語の可能性を提案しています。
平塚治樹師は、「地」と訳される二つの名詞の意味を探り、頻度の少ない「アダーマー」をより多い「エレツ」と比較することで、その核心的意味合いを確かめ、アダーマーに「大地」という訳語を充てることを提案しています。
公文光師は、強調のためにも使われる接続詞「キー」の、強調の意味合いがまだ十分解明されていないことを押さえつつ、「キー・マー」と続く場合に限り、強調の意味合いを定義して、全十一回の事例に当てはめ、「いったい」と訳すことを提案しています。
読み始める前は「あの『みことば』かあ」と構えていたのですが、実際に読むと「お、意外に分かる、読みやすい!」と思いました。より広く読者に届くように、簡潔に、分かりやすく書かれているためだと思われます。
とはいっても、ヘブル語がいっぱい出て来ます。誰でもすらすら読めるとは、さすがに言えません。とはいえ、かなり音訳がついていますので、読み方も何となく分かります。
ですから、まずは本書を同労の教職者に、ヘブル語の復習のために薦めます。次に、献身を考えて新改訳聖書の欄外注をいちいちチェックしたりする方や、言語に興味があったりする方にお薦めします。そして、聖書翻訳のために積み重ねられている膨大な働きの一端を知るために、みことばを愛するすべての人にお薦めします。
主の愛とそれに応える聖徒たちのみことばへの愛が諸教会を一つにしますように!