書評books 清々しい温かさを感じる一冊

放送大学名誉教授・臨床心理士 瀧口俊子

 


『苦しむ人・悲しむ人の支えとなるために
スピリチュアルケアの現場から』
窪寺俊之/島田裕子/赤刎正清
岸本光子/清田直人/上田直宏 著
A5判・144頁 定価1,650円(税込)
いのちのことば社

 

スピリチュアルケア界を推進してこられた窪寺俊之先生の本書の「まえがき」によると、病院や施設の現場を経験し、自分の課題に取り組んでいる人たちで研究会を立ち上げ、オンラインで学びの時をもち、出版に至ったとのことである。
若者を応援するボランティア団体代表の島田裕子氏による 「若者たちの苦悩と生き方に寄り添う―『いのちのつながり』の中で―」
日本基督教団花の峯伝道所/成松伝道所牧師の赤刎正清氏による「『出逢い』に尽くす」
大阪暁明館病院伝道所牧師/同病院チャプレンの岸本光子氏による「和解によるいのちの再生―大いなる愛に抱かれて―」
社会医療法人栄光会栄光病院チャプレン/グリーフカウンセラーの清田直人氏による「苦しむ人・悲しむ人の支えとなるために―死別体験者へのスピリチュアルケア―」
日本基督教団主恩教会牧師の上田直宏氏による 「共にいるために―霊的同伴から見る病院チャプレンの関わり―」
そして、窪寺俊之先生の「日常生活の視点からのケアについて考える」へと続く。
本書に執筆しておられないが、 学びの時を共有されたチャプレンと出版社の編集者に、 窪寺先生は謝辞を述べておられる。
本書を拝読して感じたことは、 「清々しい温かさ」 である。病や災難に直面している人への優しさ・思いやり、困難の中にいる人への共感、病む人と神様への信頼が伝わってくる。
窪寺先生を中心に集った方々の真の「優しさ」 が、 流れ合っている。
本研究会によって次作が刊行されることを心から期待し、誠実な 「ことば」を発信し続けている「いのちのことば社」のますますの発展を祈る。