書評books 宣教の主との交わりを育む手引き

OMFインターナショナル 宣教師 蔡香

 


『使徒の働き 365の黙想と祈り』
篠原明 著

B6判 168頁
定価1,760円(税込)
いのちのことば社

 

福音を伝えることは教会にとっての最大の関心ごとであり、最大のチャレンジでもあると言えるでしょう。現代は伝道に役立つ様々なツールがあり、テクノロジーを駆使してより多くの人々に福音を伝える手段もあります。それゆえ、効果的な福音宣教の方法を用いさえすれば宣教が進むはずだと錯覚してしまうこともあります。しかし、主の力によらない宣教活動は必ず行き詰まり、クリスチャンを疲弊させ、教会を弱体化させます。初代教会の時代に力ある宣教を導かれた聖霊なる神は、現代も私たちの只中に働いておられます。その神の臨在と働きに目を開き、この宣教の主を知ることこそが、現代のクリスチャンと教会に不可欠なことであると著者は語ります。
本書は著者による「365の黙想と祈り」シリーズの新刊です。その目的は、「使徒の働きを黙想し、祈り、その中で神に聞き、神に語る。そうすることで使徒の働きの中で証しされたのと同じ神の働きにあずかり、神の現実に生きる者とされる」ことです(五頁)。前著と同様、一日に一~三節を読み、一年かけて使徒の働きを読み通すように構成されています。一日に読む量が短いため、忙しい人でも取り組みやすく、みことばが心に留まりやすくなります。
日毎のみことばに続く簡潔な解説、問いかけ、祈りにより、黙想に焦点が与えられ、自分だけでは至ることのできない深みへと導かれます。また、みことばを聖書の文脈の中で捉え、経験するとともに、「今ここ」に生きる私たちに語っておられる神のみ声を聞き、応答することが励まされます。まるで、黙想と祈りを通して主との対話を繰り返してきた優れた案内人が、つかず離れずのちょうど良い距離感で伴走してくれるような心強さがあります。黙想は初めてという方も、黙想にすでに馴染んでいる方も、より深く神を知り、より豊かに神を経験するための手がかりを得ることができるでしょう。
福音宣教の主体者であられる神と交わる喜びを再発見し、聖霊の力によるみわざにあずかるための具体的な道を示す手引き書として、本書を心より推薦いたします。