書評Books 交際で悩むクリスチャンの相談役となる実用的な良書

日本福音キリスト教会連合・春日井聖書教会協力牧師 水谷潔

 

『恋愛で成長する人、傷つく人
愛を育てる「境界線」』
ヘンリー・クラウド
ジョン・タウンゼント 著
中村佐知・結城絵美子 共訳
四六判・定価2,530円(税込)
いのちのことば社

 

結婚を考える独身クリスチャン、恋愛に悩む男女、そのサポート役の方々にお薦めしたい良書の登場! 様々な人間関係の鍵となる「境界線」を示し、絶大な支持を受けてきた著者による恋愛の本が邦訳出版されました。そのアピールポイントを三つにまとめてみます。
第一に、本書は恋愛の持つ肯定的な面に目を開いてくれます。今回、訳者である中村佐知さんを通じて “Gospel of sin management”という言葉を知りました。これは、罪を避けることを主眼とした福音。交通事故に遭わぬよう一切外出禁止という福音理解。日本でも、極端な恋愛の危険視や個人交際の否定が、時に、異性理解の不足、心の通い合いの欠落、性生活の課題など、結婚後の痛みにつながるケースを見聞きしてきました。
一定成熟していれば、交際は、自分の課題に向き合い、成長し、結婚に向けて整えられる機会となることに読者は納得するでしょう。その意味で本書は、これまでにはなかった画期的な書物と言えるでしょう。
二つ目は、実用性です。恋愛関係においては、自己中心、支配性や依存性などの課題が顕在化しやすいもの。それだけに、自由と責任を守る境界線が必要となります。境界線を学び、それを守るなら、恋愛関係は健全で実りあるものとなっていくでしょう。まさに実用的です。
三つ目は、多くの具体的対処と事例が記されていること。問題解決を扱う後半を読みながら、思い起こしたのは、受けてきた恋愛相談の数々。まさに「クリスチャン恋愛あるある」です。同じパターンで破綻を繰り返している方、自分を苦しめる人ばかりと交際してきた方などは、ぜひ、ご一読を。自分の側にある課題に気づきを与え、不幸恋愛卒業の道を見せてくれます。
聖書の価値観に立った恋愛の在り方を示し、境界線によって、それへと導く本書は、日本のキリスト教会においてスタンダードとなり、交際で悩むクリスチャンたちの頼れる相談役となることでしょう。聖書的なバランスを持ち、実際に役立つ良書として、心からお薦めします。