連載 New Life, New Light 第5回 写真と向き合う
フォトグラファー
辻まき子
三重県在住。東京基督教大学卒業。photo studioハナレ所属。2016年からニューボーンフォトや家族やプロフィール撮影を中心に、その人らしい自然な姿を残せるよう心掛けて撮影しています。
Instagram@maccopiでは日常の写真をご覧いただけます。
「写真家にとって最も重要なのは、創造や想像ではなく、観ること、それを正当に見せることだと、感謝をもって悟った。写真は撮るものではない、受け取るものだと理解したのである。」(ペンティ・サマラッティの写真集より)
私が心に留める写真家の言葉です。写真とは「あるがままを写すこと」であり、同時に「撮る人の主観が色濃く出る」表現です。どんな瞬間に、どんな構図で、どのように光を扱って撮影するかで、まるで違った印象になります。さらに、撮る人と撮られる人との関係性も強く表れるものです。
「そこにあった愛情を思い出せること」を現時点では大切にしています。ですから、そこには、様々なリアルがあるのですが、なるべく、それぞれの感情や心くばりが見える瞬間を、大きな光に包み込まれているように残そうと意識しています。(私には、そういう撮影癖があると思います。)
ですが、その存在そのものが、そこに織りなされてきた物語が、ただただ尊いものだと本当に信じていたら、究極的には、そのまま受け取るように写せばいいだけなのかもしれません。サマラッティのように。同時に、写真に写る主観というのも、今の私であり、2025 年の私にしか撮れないということも、一つの確かな事実のようです。
私は作家ではなく、お客様のニーズに応える商業写真の枠組みの中で撮影しているため、(主観と客観の間で)難しさも感じますが、写真に分かりやすい「やさしさ」が映っていなくても、今そこにあるものをより深く豊かに表現できるよう整えられたいと願います。こんなふうに答えのない問いを思い巡らしたり、無力さを感じることもある中で、今日もまた撮影を通して贈り物をいただくのです。