CD Review ◆ CD評 CD『hymns on three cellos』


日高恵理子
日本福音キリスト教会連合 立川駅前キリスト教会会員/ピアノ調律師

チェロの音色が導く豊かな黙想のひと時

 『輝く日を仰ぐとき』でこのCDは始まる。キーボードのストリングス音で静かに流れ出すイントロは、闇に光が差し込み白々と夜が明けていく様子を思い起こさせる。被造物を通して創造主をたたえるこの曲に続き、メドレーで『しずけきかわのきしべを』へと続く。チェロの落ち着いた音色が安らかで心地よい。慌ただしい日常を送り、なかなか静まらない心が主に思いを向けるのを助けてくれる。朝のデボーションを始める前の「静まり」に、就寝前の祈りのひと時のBGMに、活躍してくれそうな逸品である。

 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノの弦楽四重奏を耳にする機会はよくあるが、チェロ三台に鍵盤楽器という編成は珍しいのではないか。アレンジも素敵で、キーボードの使い方(特にオルガンの音色効果)がすばらしいと思う。インストゥルメンタルなのだが、ほとんどが慣れ親しんだ賛美の曲ばかりなので、聞きながら自然に賛美の歌詞が心の中に響いてくる。ただのBGMにするのがもったいなくなり、口ずさんでみる。いつの間にか讃美歌・聖歌を手元に持ってきて歌詞を味わいながら聴く。演奏家について何も予備知識がなくて申し訳ないのだが韓国の音楽家の方々ということだ。演奏中はやはり韓国語の歌詞を思い浮かべるのだろうか。それとも原曲の英語、ドイツ語? しかし日本語の歌詞もしっくりとなじむ。 『おかにたてるあらけずりの』『血しおしたたる』ではキリストの十字架の贖い、 『さびしきみそのに』では救いへの招き、『かいぬしわが主よ』『めぐみふかき主』では主に依り頼んで歩む者にある平安……など、歌詞に込められた内容を深く味わい黙想することができる。まさに、賛美が世界共通であることの恵みだ。

 「hymns on three cellos」……荘厳で美しく、かつ親しみ易さがあり、「無言」でありながらメッセージが凝縮している音楽だ。試練の中にある方々、病床におられる方々への励ましと慰めの贈り物としても最適だろう。