CD Review ◆ CD評 国と言語を超えた主の食卓

『 CD Ai;Asian inspiration 』
松田悦子
草加福音自由教会伝道師

数年前、日韓のアーティストが集まって行われたコンサートに行ったことがあります。客席から見ていると、各アーティストが一人(一組)ずつステージに出てきて歌ったり演奏したりするのですが、楽屋では、また違った様子を見ることができます。そこでは当然のことながら、日本語と韓国語が飛び交っていました。言語の違いで直接意思疎通ができないために通訳を介して会話をし、真剣に話したり、冗談に笑ったりしている彼らには、不思議な一体感がありました。その光景を見て、これはいったい何だろうと思いました。今回、このCD「AI; Asian inspiration」を聞いて、再びその感覚がよみがえりました。
参加しているアーティストは、国も、言葉も、文化も違います。また、背景も経験もそれぞれ違うことでしょう。また、音楽のジャンルもさまざまです。それなのに、アルバム全体に漂う一体感。これはいったいどこから来るのだろう。それは彼らが同じ神様を見上げ、同じ神様に心を向けているからだとわかりました。一人ひとり特別に造られた彼らに、神様は一人ひとり特別のインスピレーションを与えられました。彼らはそれを自分の賜物によって音楽に、神様への賛美として表しました。それが一つに集まって、インスピレーションの絶妙な調和が醸し出されているのです。日本語、韓国語、インストゥルメンタルの曲が収録されており、それぞれに、愛、慰め、励まし、賛美、信頼、従順など、神様への思いが込められています。一曲一曲を味わいながら聞いていくとき、彼らが一堂に会して主の食卓に着いている、そんな光景が思い浮かびました。
そこには日本も韓国もなく、言語の違いもない。ただ、神様の愛だけがあふれ流れています。
このアルバムに込められたインスピレーションが、CDを聞く一人ひとりを通して新たなインスピレーションを生み、発信されていく。そしてそれが日本中に、韓国中に、そして世界中へと広がっていく、そんな期待を抱かせてくれます。