ブック・レビュー 『夢を見て生きる』

『夢を見て生きる』
小山 大三
単立 岐阜純福音教会 牧師

信仰の冒険ができなくなってはいませんか

 超ベストセラー『ヤベツの祈り』は、全米で一千万部を突破し、日本のキリスト教界でも数年前に邦訳本がベストセラーとなりました。今なお日本においても多くの人々が、『ヤベツの祈り』に励まされています。その著者であるブルース・ウィルキンソン博士による新刊が、この『夢を見て生きる』です。

 本書は二つの部分から構成されています。第一部は「夢授ける方のたとえ話」で、天路歴程を彷彿させる物語が展開します。「平凡」という名の「馴染み」という地に住んでいる「無名人」が、自分の大きな夢を追い求める物語です。

 第二部では、「あなたの大きな夢への旅」と題し、物語の各所に触れながら、著者による解釈と教えと示唆があり、夢を導くコーチングが与えられています。

 「地球上の誰もが神に愛され、夢を与えられ、幸福に生きる可能性が与えられている。その夢の実現のために、本書を通して励ましたい」という著者の愛と強い意思が行間から伝わってきます。

 また「夢追う者」が実現を目指して旅する中で遭遇する数多くの障害は、夢に生きようとするすべての人が遅かれ早かれ直面するものであり、示唆に富んでいます。著者の実践的神学理解の深さを感じさせられます。

 個人として、あるいは教会として、私たちが信仰の冒険をしたのは、最近ではいつのことでしょう。安楽の地の中に住むことに固執してはいないでしょうか。

 ややもすると信仰がマンネリ化し、知らず知らず現状に甘んじ、信仰の冒険ができなくなっている私たちに、本書は鋭いチャレンジを与えてくれます。私が変わり、教会が変わり、日本が変わり、世界が変わるために、神が与えてくださった良書であると信じます。心からお薦めします。