書評books 絵とことばから生まれる祈り
『ホンダマモル作品集 ヒトリ、コテン』
ホンダマモル 著
A5変型判・128頁
定価2,420円(税込)
フォレストブックス
茅ヶ崎同盟教会牧師/お茶の水聖書学院教務主任 山村 諭
この作品集には、著者が画家を志した高校時代からのストーリーが綴られている。美術を学びながらも、牧師として召され、教会に仕える中で、鬱を患い動けなくなってしまった。すべてが灰色の世界。その彼の世界が再び色彩を取り戻していく。「神様は私のことをあわれんで……暗闇から引き出し、画家の道へと導いてくれました」(110頁)
ホンダマモル氏の作品の特徴は「絵とことば」にある。それがどのように生み出されているのか、「作品解説」の中で制作過程が解説されている。テーマを決め、描き出し、背景の下地を塗り、イメージを出すために何度も塗り重ねる。ことば(詩)を生み出す苦しみも綴られている。そうして描き上げられた作品は、絵とことばが重なり合い、観る者に語りかける。
制作過程を思い巡らしながら改めて作品集全体に目を通すと、「祈る人」が数多く描かれていることに気がつく。涙を流しながら、苦悩しながら、地面に額をつけて、天を仰ぎ、手を組んで、胸に手をあてて、静かな表情で、目を閉じて、目を開けて―。
「祈る人」を探しながら特に目に留まったのが、硬い表情で頭を抱えている人物だ。「かんがえるヒト」と題されている。暗い壁に頭を押しつけ、行き詰まっている様子だ。そこに添えられたことばにも「祈り」が込められていると思う。
「なぜ このようなことが あるのかと 考えれば 考えるほどに わたしは沈んでゆく ならば『考える』をやめるか そうなれば わたしはただの 塊になってしまう」
暗い壁の反対側には水色の背景が塗り重ねられている。もはや灰色の世界ではない。希望が生み出されているのだ。そういう背景の中で、ただの塊になることに抗い、苦悩しながら考え続けている「彼」は、まさに「祈る人」なのだと思う。
「すべてが美しいと受けとめられるようになりたい。その美しさを、絵の中に表現する人になりたい」(122頁)
心からの願いとしてエピローグに記されたことばは、作品のすべてに通じる「祈り」なのだと思う。