特集 六十年来の愛読者の寄稿 「百万人の福音」と歩んだ私の信仰生活

江森五男

 

 私が初めて「百万人の福音」を読んだのは一九五九年五月号で、教会の誰かが贈ってくれた一冊である。一九六三年四月号からは定期購読を始め現在に至っているので、六十年以上の愛読者となる。時には山のように積んである「百万人の福音」の中から旧号を読み返しては、日本のキリスト教会が歩んだ道程などを振り返る歴史書ともなる。
 私の個人的な感想で言えば、私が教会に行き始めた頃の「百万人の福音」は、キリスト教求道者・初心者向けの内容が多かったように思うが、現在の「百万人の福音」は、求道者・信徒の両者に向けているようにも思える。毎月手元に届くと隅から隅まで熟読しているが、隔月号になったことが残念でならない。
「百万人の福音」の掲載記事で私の人生航路が決定的となった記事がある。一九六五年十二月号の聖書日課だ。執筆者は福音伝道教団館林キリスト教会牧師小林誠一師で、そのすばらしい文章内容と館林という地名である。
 大学卒業後の進路が栃木県佐野市の教員となったが、「百万人の福音」を通して聖日厳守の祝福などを学んでいた私は、毎週の聖日礼拝を守るには母教会の国領に通うのは無理と思い、館林なら隣市であり、赴任した翌週からは館林キリスト教会の会衆の一人となっていた。
「人生は出会いで決まる」とはマルティン・ブーバーの名言であるが、「百万人の福音」の記事から館林キリスト教会と小林誠一牧師と出会ったことは、私の人生における大正解だった。牧師夫妻の仲介で家内との結婚へと導かれたり、そのメッセージを通してキリスト者としてのあるべき姿勢などを徹底的に訓練された。
爾来五十六年間、小林牧師は既に召されたが、同じ教会に夫婦二人で礼拝に出席し、奉仕に携り、今日に至っている。「百万人の福音」のあの記事があったからこそと感謝している。
(福音伝道教団・館林キリスト教会会員)