ビデオ 試写室◆ ビデオ評 55 『ザ・クロス』─イエスはなぜ十字架を選んだのか─

『ザ・クロス』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

歌・メッセージ・映像・詩 を総動員して伝える神の愛

 今回ライフ・エンターテイメントが皆さんに提供するのは、今までになかったようなビデオとDVDです。

 まず、タイトルが変わっています。原題はHe Chose The Nails「彼は、釘を選んだ」。私たちはいつもいろんなことを選んでいます。「何がほしい?」と言われたら、ほしいものはいくらでも出てきます。嫌なものは選びません。でも、歴史上ただ一人「釘をください」と言った人がいるのです。いえ、釘なら大工さんだって求めます。彼も大工さんでした。でもこの人は、自分を十字架にはりつけにするために、手足に打ち込む釘を求めたのです。

 罪人の私が赦されるために、「この人の代わりに、私を罰してください」と願った主イエス・キリスト。彼と出会ったことが、私の人生の大転機になりました。

 「ザ・クロス」 は、絵本『たいせつなきみ』の著者マックス・ルケードの一番新しい本のタイトルなのです。大切なあなたのために、彼は栄光ではなく釘を選ばれました。この大きな愛を、知恵と情熱を尽くして伝えている本です。 この本の発売と同時に、同じタイトルのビデオとDVDが世に出ることになりました。(またトラクトも出版されます)目からも耳からも、左脳からも右脳からも、全身でこの愛を知ってほしいという願いから始まった、いのちのことば社グループあげての共同プロジェクトです。

 特にこのビデオ/DVDはすばらしいです。1時間10分が、30分位にしか感じませんでした。マックス・ルケードのメッセージの要所要所に、音楽が入ります。歌っている人たちが豪華です。オークヒルズ・クワイア、ジェフ・ディオ、ナタリー・グラント、ウェス・キング、キム・ヒル、そしてトワイラ・パリス。それぞれに十字架への思いを、時には激しく叫び、時にはしっとりとささやき、あなたの心に入れてくれます。音楽的レベルから言っても、超一流ぞろいです。

 2001年7月にライブ録画されたもので、最後に聴衆の感想や制作スタッフのコメントも収録されています。

 それだけではなく、メッセージの合間にビジュアルバイブル「マタイの福音書」の映像が挿入されています。

 「十字架がわからない」。だからルケード師のような知恵を尽くしたメッセージが必要です。「言われても、見たこともないものだからイメージが湧かない」。だから映像が必要です。「気持ちがついていかない」。だから賛美が必要なのです。普通は別々になっているこの三つの道具を全部使って、ただ十字架のことだけを瞑想する1時間10分。絶対に無駄にはなりません。