書評books キリスト者が知っておくべき論点をわかりやすく紹介
『聖書信仰の成熟をめざして2』
日本福音同盟神学委員会編
A5判 168頁 定価1,980円(税込) いのちのことば社
インマヌエル浦和キリスト教会牧師(日本福音同盟 前総主事)岩上敬人
本書は、二〇二三年に日本福音同盟(JEA)神学委員会がデジタル版として発行した『「聖書信仰」の成熟を目指して2』をもとにした論考集です。当時はJEA加盟の教団・教会・宣教団体に配布されましたが、このたび、いのちのことば社から「現代の教会にとって重要な内容なので、ぜひ書籍として出版したい」との提案を受け、刊行が実現しました。
JEA神学委員会は、第六回日本伝道会議の後、新型コロナウイルス感染症が社会と教会にもたらした大きな影響を神学的に考察する課題に取り組みました。その後、二〇二三年にポスト・コロナ期に入った日本の教会が向き合うべき「聖書信仰」、「礼拝」、「聖餐」、「性の多様性、LGBTQ」、「教会と政治」、「デジタル技術、AIの発展」といった課題を聖書と神学から意欲的に論じています。発行からすでに三年が経過しましたが、取り上げられたテーマはいずれも今なお日本の教会が直面している課題です。
執筆者の方々は、研究者として、一人のキリスト者として、それぞれの課題に誠実に向き合っています。教会を分断しかねないテーマも含まれますが、それでもキリスト教世界の多様な意見や議論にも広く目を向けながら、私たちキリスト者が知っておくべき知識や論点をわかりやすく紹介しています。とりわけ「性の多様性、LGBTQ」のテーマは繊細な問題を丁寧に整理しているので、私たちがこの問題について理解を深める助けとなるでしょう。本書の最後に扱われている「AI技術」については、ここ数年でその進展は目覚ましいものがあり、その利用は、社会全体に、さまざまな世代に急速に広がっています。本書を土台として、私たちが今後取り組まなければならないテーマとなっています。
本書は、読者である私たちが、一緒に考え、悩み、真摯に向き合うための材料を提供してくれています。ぜひお読みくださり、現在の私たちと教会の課題をともに考えたいと思います。