書評books 看護を神からの天職として―大関和(おおぜきちか)の生涯

『和と旅する。日本の近代看護の先駆者』

『和と旅する。日本の近代看護の先駆者』
フォレストブックス編集室編著
四六変型判
定価1,650円(税込)
いのちのことば社

 今年の四月から、NHKの朝の連続テレビ小説「風、薫る」が半年間放映されます。二人の女性看護師がヒロインですが、主役ともいうべき人物のモチーフとなったのが「日本のナイチンゲール」と言われた大関和です。そして、もう一人がその相棒とされた鈴木雅です。
 本書は大関和についての貴重で、まさにタイムリーな伝記です。彼女は熱心なクリスチャンであり、看護の分野だけではなく、廃娼運動を初め女性の人権を守る「矯風会」でも活躍した女性です。従来、あまり知られていなかった彼女についての詳しい伝記が出版されたことに心から感謝しています。
 本書は、彼女の活動の中心地であった東京だけではなく、新潟県の高田など地方でも大きな働きをし、多くの人々と関わりを持った大関和について、とてもわかりやすく、生き生きと描いています。多様な関係者の貴重な写真や関係各地のカラフルな写真をちりばめ、とても楽しく読め、現地取材をしっかりと行っていることがよくわかります。また和に大きな感化を与えた人物である植村正久牧師、大山捨松、マリア・ツルー、矢嶋楫子、木下尚江等についても興味深く描いています。
 看護師は今でこそ、医療や介護になくてはならない専門職として社会的に評価されていますが、明治初期の頃は、賤業、つまり卑しい仕事とされていました。和は上級士族の家柄ですから、看護師の仕事を勧められた時、そんな仕事に就けないと猛反発をしました。しかし、信仰の導き手である植村牧師から説得され、「神から与えられた天職であり、神の愛に全身を捧げる熱き思い」を生涯持ち続けて邁進していきました。
 ドラマで和や関係するキリスト者たちの信仰がどれだけ表現されるかは未定ですが、その生涯と働きはキリスト教信仰を離れては論じることはできません。なお、このドラマの脚本家は吉澤智子氏で、彼女は大河ドラマでやはりクリスチャンである新島八重を描いた「八重の桜」の脚本家でもあります。