連載 New Life, New Light 最終回 手紙のような写真
フォトグラファー
辻まき子
三重県在住。東京基督教大学卒業。photo studioハナレ所属。2016年からニューボーンフォトや家族やプロフィール撮影を中心に、その人らしい自然な姿を残せるよう心掛けて撮影しています。
Instagram@maccopiでは日常の写真もご覧いただけます。
赤ちゃんには、世界はどう映っているのでしょう。生まれてまだ数日。ぼんやりしか見えていない時期ですが、小さな瞳はいつも光のあるほうを見ているような気がします。私も赤ちゃんのように、ただ光を見つめて生きたいと思うのです。
写真を撮る前に「どうか、神さまが見るように、見られますように。私に委ねられることを、誠実にできますように」と祈ります。撮影していると、涙を流される方もいらっしゃいます。産後のゆれる時期ですから、理由は聞かず、ただそのままを抱きしめるように写真を撮り、その時間をいっしょに過ごします。写真のデータは、多くは埋もれて見返されない現実があるかもしれません。ですが、あの時、そこにあった愛情は人それぞれ形は違えども、確かにそこにあったものです。その美しさもまた尊いものです。
聖書にはこう書かれています。「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、……永遠のいのちを持つためである。」(ヨハネ3・16)
私の信じる神さまは、私が出会うすべての人を愛しておられます。信じた人に与えられる永遠のいのちとは、唯一のまことの神を「知ること」とも聖書は語ります。(ヨハネ17・3)
だから、私にとって写真を撮ることは、目の前の人をよく見ようとすること、その存在に注がれている愛をよく知ろうとすることでもあるのです。小さな瞳が光を探すように、私も光―そこにおられる神さま―を見つめて生きたいです。
そうして写した写真は、未来への手紙のようなものかもしれません。「愛されているよ」「あなたは美しい」「そこに光はありました」、そう語りかけるような1枚1枚を通して、神さまの眼差しをあらわしていきたいです。