書評books SNS宣教の先駆者から、迷える 現代人へ贈る慰め・励ましの言葉

「キリスト新聞」編集長 松谷信司

 


『だいじょうぶ牧師の
元気が出る聖書のことば
140字の福音』
木坂聖一 著

B6判・定価880円(税込)
フォレストブックス

カトリックの片柳弘史神父と、プロテスタントの木坂聖一牧師。Twitterの黎明期からアカウントを開設し、多くのフォロワーから支持を得てきたSNS宣教の先駆的〝両巨頭〟である。共通するのは、信者ではない人々への温かいまなざしとやさしい言葉づかい。
不覚にも本書を手にするまで、著者が二〇二二年にくも膜下出血で倒れ、一か月余り意識を失いながら奇跡的に快復されたことを知らなかった。二〇一〇年以来、毎日更新されていた「木坂超訳聖書」は、その日の朝の分までしっかりと残っている。「誰でも遠慮なく『神様、助けてください!』と、言ってもいいのです。神様は喜んで救ってくださいます。だいじょうぶです、あなたも神様に愛されています。」繰り返される「だいじょうぶ」のフレーズは、おそらく牧会現場で奮闘する著者自身や、それを支えるご家族にも向けられ、慰め、励ましていたに違いない。
いつかお会いしたいと願いながら、一度だけ教会の礼拝に出席したことがある。初めて来た人が戸惑わないようにとの心遣いが、隅々まで行き届いていた。さらに雑誌「Ministry」(キリスト新聞社)で特集した「発信術」の内容をさっそく実践されており、その謙虚に学ぶ姿勢にも頭の下がる思いだった。
そんな、読む人一人ひとりへの愛にあふれた「140字の福音」を厳選してまとめたのが本書。旧約、新約を問わず、短い聖句に著者なりのメッセージを加えた私訳の数々。
とりわけ箴言の箇所が、迷える現代人の心に刺さる。
「神様は私たちを愛して、いつも優しく見守ってくださっています。だから人生のハンドルを神様にお任せしてみませんか?」(本文六六頁)。
実名でTwitterを続けるのには相当な根気がいる。顔の見えない不特定多数を相手に、ひたすら語りかける気力は並大抵のものではない。
しかし、SNS宣教のニーズはますます高まる一方だ。〝開拓伝道〟の志を継ぐ牧師が現れることを、心から願わずにはいられない。