書評Books 福音を伝えようとする情熱と真剣さが伝わってくる説教集

日本キリスト改革派・厚木教会 牧師 坂部 勇

『新約聖書の女性たち』
C・H・スポルジョン 著
佐藤強 訳
四六判・定価2,200円(税込)
いのちのことば社

本書は、十九世紀のイギリスで活躍したC・H・スポルジョンが語った実に多くの説教の中から、新約聖書中の女性が登場するものより選び集めた説教集です。選ばれた説教は、それぞれの語られた時期が異なり、互いに関連性はないようです。しかし、どの説教からも、スポルジョンという説教者の福音を伝えようとする情熱と真剣さがひしひしと伝わってきます。

彼の説教における特徴として、御言葉からの展開が挙げられます。スポルジョンは、ひとつひとつの御言葉に対して巧みな説明を加えつつ、その場の状況や登場人物の心境を克明に描写していきます。

その展開力と描写力たるや恐れ入るもので、なるほど当時、彼の説教を何千人もの人々が聞き入ったこともうなずけます。彼の説教は、聴衆あるいは読者(以下、読者)を二千年の時を超えて、まるでその場面にいるかのごとく導くのです。

そして、スポルジョンは、読者を傍観者のままにはしません。説教中に登場する女性たちのごとく、福音が差し出された立場へと押し出します。そこで、読者には決断が求められます。福音を受け入れるのかどうかという決断です。

時代と場所は異なりますが、スポルジョンと同じく私も説教者の一人として、彼の御言葉からの豊かな展開力と読者に決断を迫る押し出しの強さには学ぶことが多くありました。

本書は、タイトルこそ『新約聖書の女性たち』となっていますが、決して女性のための説教集ではありません。性別を問わず、若い方から高齢者まで、信徒、未信者を問わず、多くの方に読んでいただきたい説教集です。流し読みせずに、ゆっくりと、じっくりと、ひとつひとつ言葉をかみしめながら読むなら、スポルジョンの情熱に溢れる説教を味わいつくすことができるのではないでしょうか。各説教を読み終えるごとに、信者、未信者を問わず、新たな信仰の決断に至ることを願ってやみません。