書評Books 福音のムーブメントに仕えるために

日本長老教会 グレースシティチャーチ東京 牧師 福田真理

 

『センターチャーチ
バランスのとれた福音中心のミニストリー』
ティモシー・ケラー 著
廣橋麻子 訳
篠原基章 監訳
A5判・定価5,940円(税込)
いのちのことば社

 

待望の書が出版された。著者は『放蕩する神』『偽りの神々』『結婚の意味』『働くということ』などの邦訳のある、ニューズウィーク誌が「二十一世紀のC・S・ルイス」と呼ぶティモシー・ケラー。マンハッタンでリディーマー長老教会を開拓し、都市の教会開拓をグローバルに推進するネットワーク「シティトゥシティ」の創設者である。

本書は福音、都市、ムーブメントの三部構成であり、教会の開拓伝道について教える教科書と目されるが、福音のミニストリーに携わるすべての人に読んでもらいたい。第一に、救いの力である福音が未信者のみならず信者にとって生涯必要であることを再認識し、宗教と福音を明確に区別し、偶像礼拝という罪の深みに福音を適用して日々新しくされる必要があるからだ。

第二に、日本の人口の過半数が三大都市圏に居住している事実は、本書第二部で都市における文脈化された宣教に最大の紙幅を割いていることを納得させるだろう。これまで日本のプロテスタント宣教は里山こそ本当の日本であるという意識から、地方伝道を悲願としていたが、都市化のうねりに対処しきれていない現状を再考させるに違いない。また、海外異文化宣教に用いられた文脈化の理念を、教会開拓における宣教地に適用しているのは、都市や地方の別なく有益であろう。

第三に本書は、福音の力と豊かさがムーブメントとして結実するために、宣教的コミュニティ(教会)がどのようにバランスの取れた宣教を行うべきかを提示して、神の国の訪れに仕えるように促している。消費至上主義の現代社会で競争的集団主義に陥ることなく、都市の祝福となるために、どのように福音中心の宣教的コミュニティを築けるだろうか。

筆者が二〇〇八年にニューヨークで開拓の訓練を受けた時、シティトゥシティのスタッフは「東京でどのように福音が文脈化されるのか教えてほしい」と繰り返した。本書は読者のもとで文脈化されなければならない。

訳者の長期にわたる多大な労苦に心から感謝したい。