書評Books 子どもたちに伝えたい「宝」

日本福音キリスト教会連合・つつじヶ丘キリスト教会 牧師 竹内豪

 

『ココロでさがそう! ぼくらのタカラ』
櫛田信 著
B6判・定価880円(税込)
いのちのことば社

「みごとにまとめられた三回の伝道メッセージと一回の献身を促すメッセージ!」です。
本書は、著者が二〇〇七年に東京の奥多摩福音の家で語った小学生春キャンプの全メッセージです。第一~三回の導入は、四~六頁の漫画で読者を惹きつけます(キャンプではスキットが上演されました)。

四回の共通テーマは宝です。宝とは、①永遠に、②皆で共有でき、③命をかけても惜しくない無限の価値があるもの。著者は、最初にその宝はイエスさまと明言し、そのすばらしさを聖書から説き明かします。

イエスさまと出会って、救われたザアカイ。悲しみながら立ち去った富める青年。十字架上で天国を保証された犯罪人。高価な香油をささげたマリア。四人四様の出会いから、はたして自分は宝なるイエスさまにどう向き合っているか問われます。著者の真摯な姿勢に「何を見張るよりも、あなたの心を見守れ。いのちの泉はこれから湧く」(箴言四章二三節)真実が伝わってきます。加えて実在した人物や文学作品、著者の体験を通して救いの道が豊かに感銘深く語られます。

牧師家庭に生まれた著者は、小学校三年生で受洗後、十八歳で回心するまでの十年間、救いがはっきりしない日々を送りました。第四回のメッセージ前半の、信じた後に生じる七つの誤解とその解決は、そういう自らの疑問や葛藤を経ればこそで説得力があります。信仰に確信や喜びを失っている人、決心の手前で戸惑いや不安を覚えている求道者には、納得のいく導きと励ましになるでしょう。

子ども向けに語られたメッセージですから、もちろん小学生の皆さんにぜひ読んでもらいたいです。しかし、内容の深さや豊かさから中高生以上にもお薦めです。さらに小学生の親たちや教会学校の教師たちも、信仰継承に取り組む知恵と勇気が与えられるでしょう。子ども向けに語られていて大人にも届く好著です。伝道用にもお薦めします。