こころを灯す光 第4回 谷川の鹿

頓所 康則
プロフィール
新潟県燕市出身。1985年生まれ。ハガキにペンを使って、その時その時の思いを描く活動をしている。どう生きたらいいかわからなくなった時に聖書に出合い、主イエスを信じる。2019年11月3日、新潟福音教会にてバプテスマを受ける。

SNSをするにあたり、アイコンとニックネームを考えた時に思い浮かんだのが、何年も前に作ったLINEスタンプ。おそらく、くま。縮めて「おそらくま」と名付けて意気込んだはいいが、途中ネタがつき、何がなんだかわからないいきものをいくつも描いて混ぜた、なんともいいかげんなスタンプ。その中の鹿のようないきものをアイコンにした。ニックネームは「しか」。「おそらくま」は、自身のアイコンにすら選ばれなかった。

2021年9月に、新潟県三条市のとあるお店で展示をさせていただいた。本名を出すのは気が引けて、
「鹿が谷川の流れを慕いあえぐように
神よ 私のたましいはあなたを慕いあえぎます。」
(詩篇42篇1節)
を引用して、作家名は「谷川しか」とした。

展示2か月前の打ち合わせで、「三条だから30枚にしましょう!」と、自分の首を絞めるような無謀な提案をしてしまったが、どうにか用意することができた。

意外にも展示は好評で、多くの人に来店いただいた。SNSだけでのつながりでしかなかった人との出会いもいくつもあって、たくさん話をして、笑って、とても元気をいただいた。その後も地元のマルシェに参加したりしながら活動しているうちに、今では本名よりも「しかさん!」と呼ばれることが多くなっている。

しか名義でも、作品に記すサインは本名の頭文字をとって「yt」と入れている。受洗後に気づいたことだが、十字架から人という字が逆さまになって落ちているようで、なんとなく意味があるのかなと思ったり、鹿が谷川の流れを慕いあえぐ気持ちは正直よくわからないから、学びの意味を込めて私は「しか」なのかなとも思ったりもしている。