書評Books 聖書を時間軸と空間軸で読む聖書通読に必携のテキスト

CPC(カンバーランド長老教会)日本中会主事 中野晶正

 

『通読ガイド
歴史に沿って読めば聖書がわかる』
清水顕孝 著
A5判・定価1,100円(税込)
いのちのことば社

信仰をもってすぐの頃に最初の聖書通読に挑戦しました。しかし、民数記を過ぎ、申命記に入ったあたりから内容がよくわからなくなり、ページが進まなくなり、挫折してしまいました。その後、何度か通読に挑み、初めて聖書全巻を読み通した時には、とにかく聖書全巻を読んだという安堵感や達成感はありましたが、聖書のことをどれほど理解できたろうかと今更ながら思います。

これまで、聖書六十六巻をそれぞれ解説した書物は少なくありませんでしたが、本書のように具体的な通読方法を提示している書は少ないのではないでしょうか。

著者は聖書の構成を理解し、年代順に読むこと、すなわち聖書各巻を時間軸と空間軸に分けて読むことを勧めています。聖書には、歴史書と呼ばれるそれぞれの時代の情勢を「時間軸」で記した書と、預言書や諸書等、時代ごとの中心人物や救いの計画等を「空間軸」で記した書があり、まず時間軸で記された書から読むことで聖書の全体像をつかむことができると解説しています。

聖書通読というと創世記から黙示録まで順番に読んでいかなくてはならないと考えがちですが、聖書の全体像を知るという読み方は通読初心者にはありがたい方法といえます。この読み方なら、初めての通読でも私のように途中で挫折することなく、聖書の全体像を理解しながら読むことができるでしょう。

その上で聖書の書かれた目的が「神の子イエス・キリストによる救い」であること、時間軸の中に登場する人物が神とどのような契約を結んだのかという点に着目して読むことがその理解の助けになるとしています。そして何よりも聖霊の助けを借りて読むこと、それが、聖書を通して語られる神からのメッセージを受け取る助けになるというのです。

本書では理念的なことはもちろん、具体的な通読のガイド、通読表が充実しており、これから聖書通読にチャレンジする人にとっての必携の書といえます。