書評Books めくるたびに恵まれます

日本ナザレン教団・鹿児島キリスト教会 牧師 久保木聡

 

『日めくり ヘブンズドロップス
 天色のしずく』
みなみななみ 著
四六変型判・定価1,100円(税込)
フォレストブックス

パラパラッと本書をめくり、目に留まったのは、泥だらけの猫を飼い主が抱き上げ、飼い主の服もドロドロになったイラスト。でも、飼い主は微笑み、猫も安堵の表情を浮かべています。そこには「汚れた だれも 触れたくないもの 愛は それを引き受け 包む」という言葉がつづられています(十四日目より)。この絵言葉を眺め、ホッとしました。いろんなことで失敗し、人様にご迷惑をかけてしまうわたしなのに、主なる神は、ご自身を汚しながらも抱き上げてくださる……。そんな恵みが染み入って、心が温まってきます。その後、幾度も見返しては、安堵しています。
二〇二一年九月、みなみななみさんによる「日めくり ヘブンズドロップス」の第三弾として、この『天色のしずく』が発売されました。三十一日分の日めくりは、どれも聖書の言葉からインスピレーションを受けたもの。日常的な言葉で紡がれた短文とイラストを通して、神の恵みの世界を味わうことができます。「天色のしずく」というタイトルどおり三十一日にわたって天から滴る恵みを堪能できます。
わたしにとって本書で一番印象深かったのは、二十三日目の「『すべき』ことを 積み上げていけば 神さまの近くに 上っていけると思った でも 神さまが降りてきてくれた このままの 私のもとへ」という絵言葉です。レンガを積み上げ、神に近づこうとしている登場人物に対し、イエスさまはレンガを全く積まなくていい地べたにおられる姿が描かれています。頑張って積み重ねることができなくても、主イエスは隣にいてわたしを愛してくださる……。神の愛の豊かさがわたしの心の奥底にまで響いてきました。
そんなこんなで、この日めくりは、牧師やベテラン信徒へのプレゼントとしても活用できるでしょう。未信者にも福音とは何かをコンパクトに届ける最適のプレゼントとして活用することもできます。それだけでなく、この書評をお読みのあなたが、自分自身のために買ってみませんか。神の恵みに気づかされ、疲れが癒やされていくことでしょう。