泣き笑いエッセイ コッチュだね!第12回 新しい扉

泣き笑いエッセイ コッチュだね!
#更年期 #うつ #親の介護 #教会のピンチ #牧師の孤独 #みことばの黙想 #おひとりさま #トンネルを抜ける #オトナの坂道 

朴栄子 著

 

あっという間に今年も終盤にさしかかっています。今年はコロナ自粛期間を過ごし、ほとんどの計画が吹っ飛んでしまったことで、いっそう早く感じました。

九月から介護職員初任者研修(旧称・ホームヘルパー2級)の講座に通っています。
オモニの介護をするようになってから、学んでおいたほうがいいと実感していました。将来的には、資格を活用して短時間でも働けば、副収入も得られます。でも毎日介護づけなのに、もう十分だわというのが正直な気持ち。

ところが、そんなわたしを神さまが新たにしてくださってからは、ものすごく前向きになって、ぜひやってみたいと思ったのです。百三十時間の研修を受けるため、週に三日、愛車の白いクロスバイクで通っています。朝から夕方までみっちり講義と実技で夕方には腹ペコになります。

じっと座って一日講義だなんて、居眠りしそうと危惧していたのですが、いえいえいえ。むっちゃ面白い! なにしろ現役ですから。

以前は資格を取っても、実際に仕事するなんてありえへんなと思っていました。でも、しそうです。うん、きっとする。だって楽しいんですもの。やってみたいんですもの。あ、もちろん本業は牧師です。

高齢者と家族に深く関わる仕事、生きがいをサポートする仕事、慰め励ます仕事。直接神さまのことを語らなくったって、これはずばり、宣教であり、奉仕のわざでしょう。

神さまのタイミングは絶妙です。実はこのことは、昨年から計画していたのです。ところが年が明けて迷っているうちに、スケジュールが埋まってしまいお流れに。年末に来年こそは、と心に決めて三月の講座に申し込んだら、緊急事態で延期。

六月末、母タミちゃんが、ベッドから立つのが困難になりました。怖がって、ものすごい力で後ろに突っ張るのです。わたしがギックリ腰寸前になってしまい、ケアマネージャーさんに相談して、朝ヘルパーさんに入ってもらうことにしました。それまで一人で二時間近くかけてデイサービスに送り出していたのが、ふたりで一時間でできるようになりました。

それから二か月たって、タミちゃんはスッと立てるようになり、頼もしい男性ヘルパーさんにも慣れて笑顔になり、講座のある日は朝夕とお願いすることになりました。仕事がリモートになった姉も、せっせと泊まりに来てくれます。このようなサポートがなければ、今ごろはダウンしていたかもしれません。

二〇一七年の秋、教会の一階部分をリノベーションしました。アボジが召天してから十年間、借家を牧師館として住んできましたが、経済や介護の事情から教会内に戻ることに。底冷えがして居住に適さなかった場所に床暖房を入れ、収納スペースを設けて住みやすく。猫の額ほどの庭をつぶして小部屋を増築し、それに伴い玄関の位置を変更。これが大成功で、一階ホールが広く明るくなり、今まで表通りから隠れていた玄関が見えるようになったのです。

かれこれ三十年以上使用してきた扉は、こげ茶色の重厚なもの。これを再利用するかと聞かれて迷わず、いいえ、新しいものにしますと答えました。すりガラス部分の多い、オータムブラウンの軽快な扉にしました。

改修の案が持ち上がったときは、まったく気乗りがしませんでした。日々の暮らしもままならない、やる気のないわたしが、いったいどうやってこの大事業を成し遂げるのか。職住一体の暮らしになって、バーンアウトしないか。認知症が進んだオモニの住処を移して大丈夫なのか。心配は尽きず、これからの良い展望など、ひとつも描けなかったのです。

それが、なんということでしょう! 

新しい扉、お気に入りの明るいドアから、いろいろな方が出入りするようになり、わたしの人生にも新しいチャンネルが開かれました。

近年、英語圏の方に自己紹介するときに、使っているネタを披露します。つかみはOK! ドッと笑いが取れるんですよ。

My name is YoungJa Park, call me “Young” I’m 55, but I’m young.

さてさて、エッセイの二周目十三回目からは、お気に入りのみことば十二選。じっくりと味わいながら、わたしの経験もお分かちしたいと思っています。乞うご期待!

「わたしは彼らに一つの心を与え、あなたがたのうちに新しい霊を与える。わたしは彼らのからだから石の心を取り除き、彼らに肉の心を与える」(エゼキエル11・19)

在日大韓基督教会・豊中第一復興教会担任牧師。1964年長崎市生まれの在日コリアン3世。
大学卒業後、キリスト教雑誌の編集に携わる。神学修士課程を修了後、2006年より現職。

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