書評Books 明るい笑顔がいっぱい

宗教法人・牛込キリスト教会 牧師 佐藤 順

『聖書を生きる 旬人彩人』
「百万人の福音」編集部 編
B5判 500円+税
いのちのことば社

「トゥルー・ストーリー(実話)を用いなさい」と、ある世界的な牧師が、説教の講習会で教えていました。礼拝の説教では、聖書の解説に加え、みことばに従って生きて、良い実を結んだ人の実話を盛り込むことが大切だというのです。それにより聞く者は、イエス様の教えを生活にどう応用すべきかを知ることができるからです。

『聖書を生きる 旬人彩人』には、十四人のクリスチャン本人によるトゥルー・ストーリーが、美しいカラー写真と共に紹介されています。月刊誌「百万人の福音」の人気連載からのインタビュー記事を一冊にまとめたものですが、各人が活躍する分野は、福祉、医療、スポーツ、芸能、宣教、文学と多岐にわたります。そのバックグラウンドも、クリスチャンの家系の人、実家が仏教の人、かつては無宗教だった人とさまざまです。しかしその共通点は、この世的な力に頼る限界を知ったとき、キリストへの信仰に導かれ、あるいは神の愛を確信し、良い実を結ぶところにあります。

「聖書の中に『私が弱いときにこそ、私は強い』(Ⅱコリント12・10)ということばがあります。本当の強さというのは、弱さの中にあると思うんです」(本文五五頁)と、医師の方がインタビューに答えていました。各自が弱さを感じたのは、仕事上のトラブルや家庭内の問題、配偶者との死別などです。そのとき、何でも自分でできると思っていた態度を悔い改めると、その人の魂には聖霊が降り、物事が最善へと導かれていきます。それぞれが先述のように聖句を引用していれば、副題の「聖書を生きる」に、よりふさわしい証しになると私は思いました。

どの記事でも印象的なのが、一人ひとりの内面から輝くような笑顔でした。イエス様に内在していただくクリスチャンの笑顔には、柔和さと力強さ、平安と明るさがあります。礼拝説教を、単なるバイブルスタディにはしたくない牧師、信仰と実生活との関わりを知りたい方に、本書をお薦めいたします。