泣き笑いエッセイ コッチュだね!第4回 空気が美味しい!

泣き笑いエッセイ コッチュだね!
#更年期 #うつ #親の介護 #教会のピンチ #牧師の孤独 #みことばの黙想 #おひとりさま #トンネルを抜ける #オトナの坂道

 
朴栄子 著

二〇一九年五月十日はわたしの解放記念日。うれしくて、うれしくて、なにか記念品がほしくて、レトロでかわいい目覚まし時計を買って、裏に日付を刻みました。

二〇一八年、うつになって三年が過ぎた秋ごろから、トンネルの出口が見えてきました。少しずつ人に会えるようになり、新しいことがしたくなってきました。三月には友人お薦めのクロスバイクも買いました。

さらに五月に東京で開催される、「御国の弟子たち」というセミナーに参加申し込みをしました。参加に先立ち、前回の「いやしと解放」のセミナーの全動画を見るという条件がありました。二十時間以上にわたるものでしたが、その動画を見はじめたら、面白いこと面白いこと!
講師の先生はユーモアがあり、何より参加者が実際にいやされ、解放されていくのがつぶさにわかるので、目が離せません。ラップトップを抱えて食事をしながら、洗濯機を回しながら、皿洗いをしながら一日中見続けました。気がつくと冬物の洗濯がすべて片付き、衣替えも終わっていました。

うつになって苦しかったのは、感情がなくなったことです。聖書を読んでも祈っても、賛美しても、世界がモノクロになってしまったような感じでした。神さまを信じて疑いませんが、ぼんやりして遠くにおられるような孤独感がありました。

人と神さまを隔てるものは何かと聞かれたら、クリスチャンなら、罪だと即答するでしょう。しかしまず、恐れや怒りなどの否定的な感情を手放していくと、罪は自然に手放したくなるのです。解放された人は、自分は無力な存在で絶望的だというサタンの偽りに目が開かれます。すると、神さまの愛がどっと流れてくるのです。

具体的に人に抱いていた否定的な感情、自分自身や神さまに抱いていた失望や罪悪感などを一つひとつ洗い出すようにして手放していくための祈りは、セミナー期間中にしてもらいました。けれども動画を見ながら、自分なりに祈ってみたところ、かなりの部分、解放されてしまったのです。

宿題が終わった金曜日の夕方のことは、忘れもしません。頭上にかかっていた霧がパアーッと晴れたような気がしたのです。

「ああ、神さま! わたし、オモニが天国に行った後も大丈夫ですね! さびしいけれど、その後のシングルライフも、楽しみです!」

わたしが最も恐れていたこと、それはオモニが亡くなって、一人ぼっちで生きていけるのか、牧師としてやっていけるのかということでした。

さて、土曜日の夕方にオモニがショートステイから帰って来ます。最後の夜だ、さあ何をしようか。久々のワクワク感がやってきました。

それからしたことは、先延ばしにしていたタイヤ交換と椅子の購入、近所のおばあちゃんに頼まれていた買い物までして、自分でも仰天の行動力でした。

突然明るく行動的になったわたしを見て、友人たちから、ちょっとハイになっている、躁状態かもと言われました。あははは。どうかご心配なく。あれから八か月。毎朝思うことは同じです。
ああ、空気が美味しい! ああ、空が青い! 生きていることがうれしい! 

それは単に病気が治って、もとの状態に戻った、本来の明るい性格が戻ってきたというのとは、かなり違います。

心につかえていた恐れや怒り、悲しみや失望などを手放して初めて得た、自由と解放を今、毎日満喫しています。

また、このミニストリーに使命が与えられたわたしは今、「心の断捨離」(「いやしと解放の祈り」を一般向けにこう命名しました)の導き手、また導き手を訓練する人となって、人々を解放し御国の弟子とする働きを担っています。

たびたび思い出すのは、毎日イライラしていた日々のこと。あのころはきつかった。いつか抜け出せると、神さまが救い出してくださると信じて祈ってきました。それでもトンネルの向こうに、こんなキラキラした世界があるとは、想像もできませんでした。

自分自身に毎日驚いているのです。やる気スイッチがポンッと入るだけで、なんと多くのことができるのだろう。なんと創造的になるのだろう。なんて生きることは豊かなことだろう。

それはわたしが、世界一のクリエーターであり、アーティストである方の娘だからです。そのことを噛みしめて、多くの方に伝えていきたいという思いでいっぱいです。

 

「しかし、あなたがたは選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神のものとされた民です。それは、あなたがたを闇の中から、ご自分の驚くべき光の中に召してくださった方の栄誉を、あなたがたが告げ知らせるためです」
                 (Ⅰペテロ2・9)

在日大韓基督教会・豊中第一復興教会担任牧師。1964年長崎市生まれの在日コリアン3世。
大学卒業後、キリスト教雑誌の編集に携わる。神学修士課程を修了後、2006年より現職。

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