ミニ特集 信仰的な立場による実践的な助言や示唆

ミニ特集
信仰的な立場による実践的な助言や示唆
翻訳家 山形由美

NEW『いのちあふれる家庭を求めて
―安心できる場をつくる』
堀江通旦、ヒルデガルト・堀江 著 山形由美訳
四六判 224頁
定価1,600円+税

東日本大震災から七年の歳月が流れました。あの時、津波のために、一瞬にして家と家族を失ったある男性の涙ながらの言葉を、私は今も忘れることができません。「家や物はいいんです。でも家族にだけは帰って来てほしい……」。そして、家族の絆の尊さを強く感じた多くの方々が、その後、結婚して家庭を築くことを望むようになったと聞きました。

この『いのちあふれる家庭をめざして』という本では、そのような家庭のもつかけがえのない意義、家庭で人がどのようなことを学び、身につけながら大人へと成長していくのかについて、さまざまな観点から大変わかりやすく書かれています。精神科医であり、長年、家庭問題や結婚カウンセラーをされた著者ご夫妻の貴重な経験を通して、聖書に基づいた信仰的な立場による実践的な助言や示唆も数多く含まれ、とてもバランスの取れた内容となっています。
両親は子どもたちをどのように導いたらよいのか。夫婦関係について、親子関係について、子どもの発達段階、親が子どもに信仰を伝えること、子育てに失敗したときに、……などなど、それぞれの章が読みやすく、私たちに明確な指針と励ましを与えてくれます。そして全体として、聖書に基づいた真の自由と生けるいのちにあふれた家庭の姿を明らかにしています。

実はこの本は、およそ二十五年ほど前、家庭の意義が問われていた当時のドイツで出版されたものでした。しかしこの本の内容は、今もますます力強い響きをもって私たちの心に語りかけてきます。長い時を経たこともこの本の真価を印象づけるものでしょう。また今回、著者と編集者の方のご協力を得て、多くの改訂が加えられました。インターネット社会の及ぼす影響、シングルマザーの問題など、今の私たちの社会により即した内容にもなっています。

これから子育てをされるご夫婦、またその途上で奮闘しておられる方々、そしてさらに教会学校をはじめ、子どもの教育に関わる多くの皆様にぜひ手に取っていただきたい一冊です。