ミニ特集 信仰の成長に必ずや貢献してくれる物語

日本キリスト合同教会 板橋教会教会員
大井百合江

『祈りのちから』
クリス・ファブリー 著
中嶋典子 訳
定価2,300円+税

昨年公開された映画「祈りのちから」を観たクリスチャンの多くが、祈ることの素晴らしさを感じたことと思います。この本は、その映画の原作ではなくノベライズです。映画を観た私などはその映像を思い浮かべ、そのときの「あぁ、私も特別に祈りの部屋を作って(日本人の多くにとっては、このスペースの確保が難題ですが)、みことばをたくさん読んで、何でも祈ろう」と決心したことを思い出しました。

映画では表現しにくかった登場人物の心情が、文章だと繊細に描かれているので、小説として初めて読む方も十分に感動することでしょう。感動と書きましたが、クリスチャンであれば、信仰の成長に必ずや貢献してくれる物語なのです。
この話の原題は「War Room」(戦場での戦略室)です。祈りは悪と戦うための強力な武器であるというのが、この本の中心的なメッセージです。

はた目には理想的な夫婦として映るエリザベスとトニーの、実は冷えきっている関係は一人娘のダニエルの心にも影を落としていて、家族は危機的な状況でした。そんなエリザベスが仕事の関係で出会ったクララという老婦人が、彼女に祈ることを教えていきます。クローゼットの洋服などを片付け、そこで、みことばと祈りに集中するようになったエリザベスは、家族の最大の危機に直面したときも、問題だと思っていた夫を変えることを祈るのではなく、自分が変えられるように祈るようになっていきます。そして、彼女自身や周りの人びとの心も状況も、劇的に変えられていきます。
クリスチャンであっても、祈りについていろいろと誤解をしたり、分からないことがあります。話の中にも「神様は何でもご存じなのに、なぜ祈るのか」「多くの人に祈ってもらった祈りのほうが聞かれるか」「そもそも祈りとは何か」などの多くの疑問が出され、一つひとつにクララがみことばによって答えてくれます。
クララは祈りによって信仰が成長したエリザベスに、今度は周りに祈りの戦士を育てるように伝えます。私自身も、「祈りとは、自分を捨て神に従うこと、神さまのわざに私たちも参加させていただくこと」というクララのことばを忘れずに、具体的に多くのことを祈り続けていきたいと思います。