DVD 試写室◆ DVD評 まさに目からうろこ! 唱歌・童謡誕生秘話
「永遠のふるさと ~唱歌・童謡から賛美歌へ~」<前編>

「永遠のふるさと ~唱歌・童謡から賛美歌へ~」
大橋由享
友愛グループ イエス・キリスト ファミリー教会牧師

日本における近代教育制度は、明治5年の学制発布に始まる。その際、唱歌が一教科として定められた。初めて教科書として編纂されたのが、「小学唱歌集」。これには、91曲が収録されているが、驚くべきことに、そのうちの実に16曲が、賛美歌からメロディを借用したものである。
たとえば、唱歌「栄行く御代」は、クリスマスの定番「神の御子は今宵しも」のメロディ。また、唱歌「見渡せば」は、「恵みをたまえや」という賛美歌に、古今和歌集をアレンジした歌詞がつけられたものだ。ちなみに、「見渡せば」は、後に新たな歌詞がつけられて生まれ変わり、だれもが知っている歌となった。童謡「むすんでひらいて」である。
それにしても、なぜ、近代音楽教育にこれほどたくさんの賛美歌が使われたのか? また、なぜ、その事実が日本音楽史において闇に葬られ、ほとんど語られることがなかったのか?
今回、ご紹介するDVD「永遠のふるさと ~唱歌・童謡から賛美歌へ~」の第一章では、そんな唱歌誕生の謎に迫る。
本作品は、「目からうろこ」シリーズの第1弾として発売された。これは、キリスト教に関する知られざる事実、謎を追っていくシリーズだという。まさにシリーズ名どおり。貴重な写真や資料を示しながら、唱歌と賛美歌の関係が徐々に解き明かされていく過程は、目から鱗の連続だ。
ナビゲーターは福音歌手の森 祐理さん。元NHKの歌のお姉さんであり、自身のコンサートでも多くの唱歌、童謡を歌う彼女はまさに適役である。このDVDでも、美しい歌声を披露している。特に、前述の「見渡せば」を唱歌バージョン、賛美歌バージョン、童謡バージョンと歌い分けているのが興味深い。
また、解説は讃美歌史家の手代木俊一氏が担当。特典映像の中には、手代木氏による更に詳しい解説も収録されている。さて、「小学唱歌」と賛美歌の関係である。両者をつなぐのが、ルーサー・ホワイティング・メーソンという人物だ。彼は、アメリカにおける音楽教育の第一人者。明治政府は、近代音楽教育の導入のため、メーソンを日本に招聘したのである。彼は、また熱心なクリスチャンでもあった。
ここから先は書かずにおこう。DVDを見てのお楽しみである。ぜひ、ご覧いただきたい。しかし、コンタクトレンズの方は、うろこと一緒に落とさないようにご注意を!