CD Review ◆ CD評 CD『WOW GOSPEL 2007』

CD『WOW GOSPEL 2007』
鬼無宣寿
ゴスペル・シンガー/クワイア・ディレクター

日本を揺さぶる ゴスペルの声

 「ハレルヤ!」教会では もちろんのこと、カルチャースクール、サークル団体など、日本のいたる所で多くの人がこの言葉を歌っています。そのゴスペル・クワイアのメンバーにとって年に一度の待ち遠しいCDが今年もやってきました。一九九八年から発売されている「WOW GOSPEL」シリーズです。記念すべき十枚目となる今回のCDには、なんと三十一曲ものゴスペル曲が収録されており、そのどれもが米国で活躍中のそうそうたるメンバーです。

 今年二月に開催されたグラミー賞・ゴスペル部門において、受賞やノミネートされた方の曲も多く収録されています。「ゴスペル・パフォーマンス最優秀賞」受賞のヨランダ・アダムス、「伝統的ゴスペル・アルバム最優秀賞」受賞のイスラエル&ニューブリード、「現代R&Bゴスペル・アルバム最優秀賞」ノミネートのキエラ・キキ・シェアード、マイロン・バトラー&レヴィなどです。また米国だけでなく、日本においてもコンサートを行なったドニー・マクラーキンは、現在ニューヨークの牧師としても用いられています。

 この様に、音楽という賜物を与えられた方々が一同に集まったアルバム、それが「WOW GOSPEL 2007」です。

 そもそもゴスペルという音楽は、奴隷として扱われていたアフロ・アメリカンの人々が、その苦しみの中で、聖書を通し、主を仰ぎ、歌い始めたことが元になっています。ですから、ゴスペル曲の歌詞には、「心打ち砕かれ、涙流すとも、主が共におられる、私たちは平安の中にいる!」という力強いものが多いのです。いじめ・自殺・道徳心の欠如など、物質的に裕福になった日本でも、老若男女にかかわらず精神的な癒しを、今こそ求められているような気がします。ゴスペルが日本で広まっている背景には、心の鎖を解き放ちたい、その様な理由があるのかもしれません。

 多くの方々がこの「WOW GOSPEL 2007」を聴いて、心揺さぶられ、この言葉を口ずさみ始めることでしょう。「ハレルヤ!」