風色のカレンダー 11 おそろいのワンピース

おそろいのワンピース
相馬幸恵
ミニチュアクラフト作家

 高校一年になる娘がまだ幼かったころ、安価でかわいらしいプリントの木綿地をたくさん買ってきては、おそろいのワンピースを作ったりしました。今のようにかしこまったところに行く機会もほとんどなかったので、せいぜい近所のお買い物のときや、教会の礼拝に着ていくくらいでした。

 学校の家庭科で習ったほどの技術しかないので、出来映えもデザインも稚拙で、ところどころ糸がつれていたりと、ぱっとしませんでした。でも、そのうち頼んでも一緒に着てくれなくなる日がくるかもしれないと、その日の思い出を紡ぐような気持ちで何着か縫ってきました。

 ときにはおもちゃの着せ替え人形もおそろいにして楽しんだものです。長男に作ったベビー服や刺繍をほどこした帽子など、今でも大事にしまってあります。

 振り返ると、このようにして私は、ひとつひとつ作品を仕上げることで、物作りや手作りの楽しさを学んでいったのかもしれません。