牧師の趣味 落語

豊中第一復興教会
朴栄子
(高座名「大川亭栄華」)

昔からの知人とか、牧師の顔しか知らない方に、「こんなんやってます」と寄席のチラシを見せると、「えっ! これ、先生?」とすごいリアクションで驚かれる。その表情を見るのが小さな楽しみです。

きっかけは、路上生活者支援集会での説教。聖書に関心のない参加者に、いかに興味を持ってもらえるか知恵を絞った結果、ウケてなんぼやとなんとなく落語風に語ったのが始まりです。そのうち適当ではいかんなと、アマチュア向けの講座を受講。

かれこれ十年以上やっていますが、なかなか上達せず、持ちネタ(古典落語)もわずか二十本ほどです。それでも、教会関係や老人施設などに呼ばれるようになりました。

十五分前後の演目を披露しますと、必ず言われるのが「よく覚えられますね」ということです。種明かしをすると、難しくないんです。

最初こそ苦心したものの、覚えるのもだんだんと早くなります。丸暗記ではなく、ストーリーを描いているからです。それより大変なのは目線、上下です。

落語は独り芝居ですから、誰がどこにいるのか、どういう表情でどんな気持ちなのかを設定して、「気を変える」。噺に入り込むということですが、これが容易ではありません。本人が毎回フレッシュな気持ちでないと、ちっとも面白くありません。

牧師はどこに行っても「先生」と呼ばれますが、お稽古ごとにいくと、ただの「パクさん」「栄華さん」。ひとりの生徒になれる空間は、貴重で新鮮です。

想像力を駆使するので、演っていると右脳がスッキリする感じ。一人でも聞いてくれる観客の前で出来ると、さらにスッキリ!最高にステキな思い出があります。知人宅の縁側に座布団を敷いて、広いお庭と雄大な南阿蘇の山々を見ながらの一席。ああ、旅先で出会った方の前で披露できる日が早く来ますように!

 

豊中第一復興教会
〒561-0804 大阪府豊中市曽根南町2 丁目1-11 TEL: 06-6866-0922
*落語の動画はYoutube「大川亭栄華落語」で検索