続 四十路へのずっこけ恋愛道 教訓十一 結婚したいなら、「計算」も必要

松本望美
北朝鮮宣教会所属

「おひとりさま」は、気軽でいいけど、
結婚したいなら、「計算」もできたほうがいいかも

 二十代の頃、「ねえ、ひとり旅ができて、しかもアジア好きな女性って、婚期が遅いらしいよ」という雑誌の情報を教えてくれた友人。「へえ~! そうなんだ?」とあっけらかんと答えていた私も、すでに四十路を迎えた。

 「ひとり旅」は当然のことで、ミッションは「アジアぐるぐる」だし、今では「私が証明なの」と某化粧品CMのような仕上がりになっている。

 「ひとり旅」どころか「ひとりご飯」も平気だし、あえて「ひとり展覧会」「ひとり映画」に出かける。この「おひとりさま」の時間が一番リラックスできるし、いろいろと考えることができる。

 そんな「おひとりさま」志向な私ではあるが、ひとりで入れないところもある。

 その一つが「吉野家」。

 友人に話すと、「え?! 本当?!」と驚かれる。「イメージ的に*おやじ専門店*のような感じで、どうしても勇気が出ない」と言うと、「ひとりでアジアの裏道歩けるのに、吉野家はダメだなんて!」とあきれられる。

 先日、礼拝後に訪問する教会があり、一緒に行く友人にチャンスとばかり「吉野家に行ってみたい」と頼んでみた。

 「ああ、いいですよ」と、うら若き三十二歳の友人は二つ返事。「ねえ、吉野家だよ? 大丈夫?」と念を押すと、「ええ、行き慣れてますんで」とこともなげに言う。

 改札を出て外に出ると、友人はいとも簡単にオレンジ色ののぼり旗を見つけ「あった!」と言う。店内には、やっぱり男性客が多い。「牛丼並で。みそ汁とサラダも」と注文する友人。「のんのん(私のこと)は? 並でいいですか?」と堂々とした彼女に導かれるままに……。「ふう~ん……」と店内を見渡しているうちに「はい、並お待ち!」とドンブリが運ばれてきた。

 う~ん……やっぱりこの雰囲気、無理かも、というのが結論だった。

 そんな話を違う友人にすると「じゃあ、店に入る前に祈るのよ。みことばのとおりに『私は、私を強くしてくださる方によって……』」というholyな言葉をさえぎって、「いや、そこまでして……」と私。

 「じゃあ、一緒に吉野家に行ける男性と出会えるように祈るとかね!」とどこまでもholyな彼女。

 そんな彼女は「私なんか吉野家どころか、ひとりご飯、ひとり映画もできないわ。ひとり旅なんて考えただけでも無理!」と言う。(ちょっと計算も入っている要素もあるが、)こういう女性を男性は守ってあげたいとか思うのだろう。

 まあ、日本の吉野家はダメだけど、北京や台湾にある吉野家なら入れる気もする私なのだった……。