時代を見る目 258 豊かな信仰を目ざして [3] 神さまイメージが変わる?

河村従彦
インマヌエル聖宣神学院院長

「神さまイメージ」って変わるの?
神さまイメージは人生のどこかで変化するか、変化する場合、どのように変化するか。
これはおそらく、大方の人が知りたいところだと思います。裁判官のようなネガティブなイメージが、愛にあふれた理想的な父のようなイメージに変化すれば、信仰生活はもっと楽に、そして豊かになるだろうと思います。
心の中に取り込まれている神さまイメージが今どうであっても、心配は要りません。神さまイメージはどこかで変化する可能性があります。これは神さまの恵みのみわざです。

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メソジストの創始者であるウェスレーの生涯を調べると、やはりある出来事を前後して神さまイメージが変化した様子が読み取れます。また、キリスト者の方を対象に行ったインタビュー調査でも、神さまイメージが変化したと証しする方がおられます。
いろいろ調べてみて分かったことは、神さまイメージが変化する前に、多くの場合、人生の重大なイベントが起きるということです。自らのアイデンティティーを問わざるをえなくなるからではないかと思います。信仰はより自由なものになり、人の評価から自由にされ、自分が頑張らなければという意識から「やっていただく意識」に転換が起きます。

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信仰を「神さまとの出会い」と考えるならば、いわゆる信仰体験のような視点だけで信仰を考えるのではなく、自分にとって神さまがどのようなイメージの方か、またそのイメージがどのように変化しつつあるかということを見ていくことも重要ではないか。神さまイメージ理論は、このような問題提起をしてきます。
わたしたちキリスト者の中には、裁判官に特徴づけられるネガティブな神さまイメージがかなり広く、そして深く根づいています。宗教は本来、人を自由にするはずのものです。信仰の体質やパーソナリティーのスタンスを考えるときに、神さまイメージが人を縛るようなネガティブなものではなく、人を生かす肯定的なものであることはきわめて重要なことです。
わたしたちの信じる福音が本当の福音であるために、自分はどのような神さまイメージを描いているかを問い直してみるときが人生のどこかであってもよいかもしれません。