ブック・レビュー 自己中心性を放棄し、神の聖さを知る恵み

 『主が聖であられるように  』
蔦田 緑乃
イムマヌエル綜合伝道団 カンボジア宣教師

この度、国際ナザレン教団にて長年、牧会者・神学者として偏りのない指導者であられたW・M・グレイトハウス先生の著書を、日本語でお届けできるように労してくださいました翻訳者の福江等先生といのちのことば社の御努力に対して心から感謝を申し上げます。
この本は、創世記から黙示録まで聖書全巻を通じて約束された神のキリストによる救いが、「罪という病から完全に癒す」恵みとして、本書の原題に示す通り「Wholeness in Christ」(キリストにある健全さ)への回復であることを神学的・学術的・牧会的に解明しています(七頁参照)。聖化(Holiness)の恵みを探求する方にとっては、久しぶりの朗報となる解明書です。
現代の教会は似て非なる教えが蔓延し、心理学方面からの強い影響の下、精神的な癒しと霊的な完全な癒しの違いが分からない伝道者、信仰者が増え、道徳・倫理的には「白い衣でなくネズミ色の衣を着た聖徒」が町を往来する時代になりました。
牧師も信徒も聖い神への理解が希薄であるため、罪への理解も、またその解決の道の理解も希薄です。そのようなキリスト者が住む町の人々は、残念なことに本当の聖徒を見ることができません。 あなたがもし、真のキリスト者であり、教会用の白い衣でなく、家庭や社会、この世における普段の生活に白い衣を着た聖徒の一人となることを求め、またもっと白さを深めた聖徒になりたいと、聖化の成長に渇きをもつ人なら、本書はあなたの教師、ガイドとなります。
 自分は聖潔とか、聖化などという面倒な教理など興味がない、というクリスチャンは、真に聖い神との対面経験がないか、自己中心性を放棄したくないだけでしょう。震災・原発を通過して「永遠に残る神の聖さ」をもった聖徒たる必要性に目が開かれたお互いであることを祈りつつ、本書を心からお薦めしたいと思います。