ブック・レビュー 神学生のころから、ロイドジョンズの魅力にひかれて

 『ロイドジョンズ ローマ書講解 7・1-8・4 律法の役割と限界』
柴田 福嗣人
日本キリスト教団・習志野教会牧師

二十世紀最大の説教家のひとりと言われるロイドジョンズの説教集『ローマ書講解』の日本語訳の四冊目が出版されました。大変感謝です。ロイドジョンズが大好きというかたは大勢おられるでしょう。私も神学生のときに、『山上の説教』を読み、一度で彼のとりことなりました。
ロイドジョンズの特徴は、論理が明瞭でわかりやすいことです。特に、今回出版された「七章一節~八章四節」は、日本人が非常に理解しにくい、罪と律法、信仰と救いなど、福音の根本的な教理をロイドジョンズが丁寧に解説しており、必ず読む人の伝道力を増してくれると信じます。難解な教理であっても、筋道を立てて説明されれば、誰でも理解してくれることでしょう。先に救われた私たちは、まだ救われていない同胞たちに、「おりを得ても得なくても」福音を語る義務があります。
神学生だった当時、神学校の談話室には米国CBD(クリスチャン・ブック・ディストリビューターズ)のカタログが置いてありました。ファックスで注文すれば、聖職者割引で宗教書が格安で買え、支払いはカードですればよい、と友人に教えられ、ロイドジョンズのまだ翻訳されていない本や、ロイドジョンズが自著で引用したり、推薦している一七~一八世紀のピューリタンや福音説教家の本などを入手しました。『ローマ書講解』全十四巻もこの方法で購入したのですが、英語の苦手な私は、この本が日本語で読めたらどんなによいかと願っていました。
ロイドジョンズの著書には、聖霊のバプテスマ、そのリバイバルを待望しているものが数冊あります。マルティン・ルターの宗教改革以後、少なくとも百年に一回はどこかでペンテコステのできごとのリバイバルが起こり、教会はそれで発展してきたが、最近はそれがなくなった。教会の力が回復するためには、それがぜひ必要だというのです。
ローマ書は霊的な書であり、特に八章は霊的です。日本のキリスト教の発展のためにもローマ書講解の翻訳、出版の継続を期待しています。

『ロイドジョンズ
ローマ書講解 7・1‐8・4』
D・M・ロイドジョンズ 著
渡部謙一 訳