ブック・レビュー ともかく、誰にでも


大竹 護
日本長老教会 四日市キリスト教会牧師

聖書を読み解く力、世相を見抜く力、難解な思想を平易に語る力を持つ牧師と妻による、結婚をテーマにした一冊です。
結婚(独身のことも)について聖書が何を教えているのか徹底的に探り、現代の多くの人が持つ考え方(聖書的でない結婚観)がいかに危険であるか警鐘を鳴らし、具体的にどのように結婚生活を送ればよいか優しく指南する書。神様が私たちに願っていること、そのために神様がしてくださっていること、世界の現状と聖書の福音がどのような関係にあるのかを踏まえつつ、結婚について語る書。注解書的、神学書的であり、説教的であり、エッセー的であり、実用書的でもある。翻訳本でもあるのに、とても読みやすい日本語。本当にすごい本だと思います。同じテーマの良書がすでに多くある中で、それでもこの一冊が日本語として出版されることに、大きな意味を感じます。
私は書評を書くために、この本を手に取りましたが、読み終わって最初に心に浮かんだ思いは、神様の素晴らしさ、福音を知ることの恵み深さでした。結婚をテーマにした本で、書評を書くために読み始めたにもかかわらず、第一の感想が、神様の素晴らしさに感動したことに自分でも驚きました。
続いて、(今までも取り組んできたつもりですが)思いを新たに、聖書的な結婚生活を送りたいという願い。この本を通して、今までも頂いていたしこれからも頂くことになる、結婚の祝福に気づき、結婚生活への期待が膨らみました。
さらに、この本に示された聖書の知恵を、多くの人に知ってもらいたいという願い。この書評を書く前から、私の仕えている教会員の方々、友人に、お薦めしています。
結婚している方にも、結婚を望んでいる方にも、独身の決意がある方にも。(キリスト教世界観に立った本ですが)クリスチャンでない方にも。もっと言えば、結婚というテーマに興味がないという人にも、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。

『結婚の意味―わかりあえない2人のために』
 ティモシー・ケラー、キャシー・ケラー 共著
廣橋麻子 訳