ブック・レビュー 〝聖霊”による信仰生活を歩むために……

 御霊に属する人、肉に属する人
郷家一二三
日本ホーリネス教団坂戸キリスト教会牧師

本書は、信仰生活の中心問題である「聖霊による歩みと成長」を、具体的に霊的に深く解き明かしています。聖書の光で人間の心理を的確に照らし、私たちの目の前に提示してくれます。読んでいて、ああそうか、それが原因だったのかと、目が開かれる思いを何度もしました。
昨夏、いくつかの教会が合同で行った修養会での四回のメッセージをもとにしたという本書は、読むというよりもじっくり語りかけられているような、豊かな対話の時間を過ごさせてくれます。聖霊による信仰生活を歩む上での悩みについて、まるでカウンセリングを受けているような読後感です。聖化の恵みを語る新しいことばとの出会いは、信仰生活に大きな助けとなるでしょう。
主イエス・キリストを信じ、聖霊が与えられていながら、なぜ同じ失敗を繰り返し、いつまでも霊的な幼子なのだろうか、と悩むことがあると思います。それは「心の罪悪感や不安の穴を埋めようとして、神の恵み以外の代替品(律法的な生き方、自分自身が作ったルール)で埋めようとしているからだ」と本書は明解に語ります。私たちは気づかずに、聖霊で始めながら肉で仕上げようとし、恵みで始めながら律法で仕上げようとしているのです。そして問題が起こると肉を持ち出し、律法的信仰に戻ってしまう。主の恵みを忘れるのです。聖霊によって歩む人は、律法の要求は、イエス・キリストがすべて代わって満たしてくださったと信じ、罪と死の原理(システム)から解放され、いのちの御霊の原理(システム)に生かされています。律法の要求とは完全に切れて自由ですから、主の恵みに立って、むしろ神への献身に生き、喜んで神の僕、神の奴隷として、神専用に聖別されたものとして生きようとするのです。
では、問題が起こったときに、具体的にどう向き合っていくのか。この具体的なありかたを、続く「キリストの心で見る」「信じていることは外に出る」「成長とは継続である」の三回で解き明かします。
ぜひ手にとって、豊かな新しいことばと具体例に満ちている本書との対話の時をお過ごしください。