ブック・レビュー 『教会形成の喜び』
――足もとからはじめる教会づくり

教会形成の喜び――足もとからはじめる教会づくり
千田 次郎
保守バプテスト同盟 恵泉キリスト教会 主任牧師

教会を愛する人のための必読の書

 最初は表題に「教会形成を励まし、希望を与える必読の書」とつけました。しかし幾度も思い巡らせて、結局「教会を愛する人のための必読の書」としました。

 著者の佐藤彰先生は、人口一万人の東北の小さな町で牧師として奉仕をしておられる主の器です。二十五歳で、三十五年の歴史のある、礼拝出席者二十名の教会に招かれて牧師として赴任し、二十年間その教会に仕え、百八十名の教会に育て上げた実績は驚きです。本書には、その秘訣がぎっしりとつまっています。そして本書を読めば読むほど、著者がイエス様とイエス様の教会をこよなく愛し、信頼していることが伝わってきます。それこそがどんなことよりも大切な秘訣の核心であることを教えられます。

 本書は、第一部は、神学校での教会形成についての講義、第二部は牧師を対象としたセミナーの内容、第三部が著者を支え、祈り、育んでくださった信徒の証しとなっています。そう聞くと、多くの人は何か難しいことが書いてあるのではないかと敬遠するかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。教会を愛して、教会の形成や教会の成長を願っている人であるならば、牧師にも、役員にも、信徒の方にもとてもわかりやすい内容です。そして大きな励ましを受けます。それは著者の教会への愛が文章の隅々にまであふれているからです。健全な教会形成の秘訣は、方法論ではなく、教会への愛から始まることに気づかせてくれます。

 そして、教会を建ててくださる主への信仰、神様の目から見た現状に対する、建設的で、積極的な評価、歴史を調べ、霊的な源流までたどって積極的な評価をし、その上に教会を形成していくことを教えています。

 本書のどこにも消極的、否定的な言葉を見出すことができません。ここにも大切な秘訣を教えられます。教会を愛し、成長を願う人の必読の書です。