ブック・レビュー 『教会における女性のリーダーシップ』

『教会における女性のリーダーシップ』
富井 悠夫
本キリスト改革派 堺みくに教会 牧師

女性の豊かな賜物を認識し、活用するために

 本書の目的・内容を一言で表現するならば、「各個教会における働きと交わりが神の栄光を目的としてなされるために、女性が『助け手リーダー』として自分の能力を理解し、適切に用いる可能性を探る」ことと言えよう。

 「神の栄光」を目的、焦点として、各章のはじめに「わたしと共に主をたたえよ。ひとつになって御名をあがめよう」(詩篇34:4、新共同訳)が繰り返し引用されて、神から目を逸らしたり、思いを他に転じないように呼びかけている。

 また「助け手リーダー」という表現によって「職制の問題ではなく、男性の指導的地位が聖書的立場として受け入れられている教会の中で、女性はどのような機能を果たし得るかという問題を創造的に検討」しようとしている。すなわち女性牧師・女性長老が教会の職制として認められていない教会の中で、女性の多様な「賜物」を認識し、積極的に活用しようということである。

 「助け手」とは決して劣っているという意味ではない。「神は私の助け手」であり、本質的に同等である三位一体の位格間にも機能的な相違や役割分担があることをあげて説明する。

 そして教会内の指導的立場にある男性も、女性の豊かな賜物を認識し、御国の奉仕のために女性の力を解放し、調整すべきであると論じる。

 「リーダー」に関しては「リーダーシップは他者と共に仕事をすること」と定義し、「リーダーの能力は何よりも先ず、他の人たちのために貢献させること」であり、「普通は側面から、後方から導き、支援し、勇気づけ、助け、彼らが最大の能力を発揮できるよう励ます」ことで、このような考え方が、女性を自由にし、教会において女性たちのさらに多くの賜物を役立たせることになると述べる。そして本書の著者たちは、教会での具体例や聖書中の代表的な女性の例を用いて「助け手リーダー」が聖書的立場であることを力説している。

 教会の婦人会だけでなく、男子会でもテキストとしてぜひ、用いてもらいたい一書である。