ブック・レビュー 『イエスを十字架につけた人たち』

『イエスを十字架につけた人たち』
村上 宣道
日本ホーリネス教団 坂戸キリスト教会 牧師

「十字架と私」を、真実に語りかける

 「きみもそこにいたのか」の賛美が、この本を読んでいる間、まるでBGMのように心の中に響いてくる。読み終えて、「主よ、確かに私もそこにいました。あなたを十字架につけたのは、この私です」と思わず祈っている自分に気づく。そして著者と共に「十字架なしに自分の存在はありません。十字架こそ、私のいのちです」との告白へと導かれていく。それがこの本、『イエスを十字架につけた人たち』である。

 遠いユダヤの国のどこかで、それがいったいこの私とどういう関係があるのかというのは、この十字架を知らされた者の誰もが一度は持つ問いであろう。実は、この問いとどう向き合い、それをどうクリアしたかで、その人の救いの経験の確かさと豊かさとを決めるほどに、重要な問いなのである。

 この「十字架と私」という関係を、著者自らが、単なる知識的な理解にとどまらず、リアルな個人的体験にまでどのようにして深められていったのかを、「あとがき」の中で語っている。読者がまずそれを読むことで、著者の意図と内容をよりよく理解する上で助けになろう。

 内容的には、一部と二部とからなり、「イエスが十字架につけられた経緯」の説明が第一部。第二部では、直接「イエスを十字架につけた人たち」を登場させ、その人たちと私たちは決して無関係ではないことを、いやむしろそこに自分の姿のあることを浮き彫りにする。

 今は、大いに祝福され、注目されている牧師である著者も、一度は「牧師を辞めます」と宣言したこともあるという。それは、まさしくイエスを見捨てた弟子たちと変わらない裏切りであるとして、十字架を見上げた真摯な証しなどもあり、読む者の胸を打たずにはおかない本書。ともかく、一読を心よりおすすめしたい。