ブック・レビュー 『イエスに出会ったユダヤ人』

『イエスに出会ったユダヤ人』
松岡 広和
単立 のぞみ教会 牧師

聖書のことばが力強く「イスラエル」に語りかける

 「私の誕生は不慮の出来事であって、望まれたものではなかったのだ」。母親が堕胎を願ってかなわず、結局、自分を出産するに至ったという事実から、著者は幼いときから深い心の傷と、そこから来る肉体的苦しみを抱えて生きて行かなければなりませんでした。

 結婚後、著者は夫と多くのセミナーを受けるなどして、人生の意味を真剣に求めるようになります。それらは、東洋的瞑想、偶像礼拝、ニューエイジ、セルフイメージのコントロールなどであり、一時的な自己満足しか与えてくれませんでした。

 家族でアメリカに滞在中、同じユダヤ人でクリスチャンである女性を通して、イエス・キリストの救いを知ります。イスラエルに帰ってから、夫と共にメシアニック・ジュー(イエスを信じるユダヤ人)の集会に参加し、ついに悔い改め、神に自分自身を明け渡しました。それからは、困難なキブツ(共同集団農場)での生活を選び、冷たい視線を浴びながらも、喜びをもって同胞に救いを証しする人生を歩むことになったのです。

 本書では、聖書の御言葉が大変多く引用されています。ユダヤ人である著者にとっては、「イスラエル」と語りかける御言葉は、「霊的イスラエル」ではなく、ストレートに与えられた御言葉です。何という力強さでしょうか。

 神はイスラエルの民を選ばれました。いつの時代でも、神がユダヤ人を通して、この地上にみわざを現そうとされるご計画には変わりはありません。

 著者はこう語っています。「もうまもなく神さまは、ユダヤ民族の霊的な目を開き、彼らは神ご自身が選ばれたメシヤを知るでしょう。このことは驚くべき大事件となるでしょう」。

 訳者は、イスラエルで著者の家族と交わりを持ちつつ、宣教しておられます。私たちも、神様のご計画をよく理解し、ユダヤ人の救いのために祈っていかなければなりません。