ビデオ 試写室◆ ビデオ評 106 「確かな希望」から今を見ると、力が湧いてくる
『黙示録―ヨハネの最期―』(2002年イタリア) -その2-

『黙示録 ―ヨハネの最期―』
古川第一郎
日本キリスト改革派 南越谷コイノニア教会牧師

 「最後通告だ!今から28日以内に、キリスト教どもに、余を神とあがめさせよ。抵抗する者は処刑せよ。」ローマ皇帝ドミティアヌスの命令が下ります。キリストを棄てて皇帝を礼拝するか、キリストに従い通して殺されるか。こんな、あってはならない二者択一を強要されたのが、私たちと同じ弱さを持つ1世紀のクリスチャンたちでした。

 「信仰を捨てないと殺されるなんて、どうしたらいいの?もう昔に戻れないの?!」信徒の一人アイリーンが嘆きます。「昔」というのは、自由にキリストを信じ、自由に礼拝し、伝道し、教会生活のできた時のこと。そんなあたりまえのことが、まるで夢のような日々だったと感じているのです。 映画はここから始まり、教会の苦悩と、迫害の醜悪さが描かれます。

 しかしそれと同時進行で、パトモス島のヨハネが見た幻(いわゆる「黙示))が描かれます。人には隠された神のご計画を記した巻物の、7つの封印が解かれていきます。いろんな色の動物が現れます。世界を戦争に駆り立てる赤い馬。飢えを表す黒い馬。

 新聞を読むと、「豊か」なはずの日本を、今黒い馬が走り始めています。生活保護を切られて餓死した人、住む所のない人、ネットカフェ難民、介護難民、何と多くの難民が…。そして今、赤い馬(戦争)が猛スピードで迫っていることを感じます。その時代に、教会は置かれています。

 その教会を象徴する「身ごもった女」の幻。巨大な竜が、生まれた子どもを食べようとしますが、子どもは天に引き上げられ、女は荒れ野に逃げ、安全に守られます。迫害下の教会が守られていることの保証です。しかし竜(映画ではどす黒い雲)は女を猛烈な勢いで追いかけます。そのとき、天使ミカエルが竜と格闘し、竜は投げ落とされます。教会の勝利の預言、約束です。

 この竜が、今の日本の教会も食い尽くそうとしています。天皇への讃美歌である「君が代」が強制されています。教会が監視されていたこともわかりました。(「キリスト新聞」6月23日号)怖い時代です。しかし、私たちが迫害される側にいるときこそ、みことばに命がこもります。

 クライマックスは、新天新地の幻。不毛の土地に次々に花が咲きます。飢えていた子どもたちが笑い、今戦火で苦しんでいた人たちが喜び、「小羊の婚宴」が開かれています。その日が必ず来る。この確信、この希望が、私たちの戦いを支えます。ラストシーンを何度も観て、涙の中で戦いの決意を新たにしました。この作品からエネルギーをもらって、今の現実を直視しましょう。そこからリバイバルが起こります。