ドニー・マクラーキン来日記念 謙遜と情熱を身につけた人 聖霊の働きによって

藤波慎也
ゴスペルアーティスト

 ドニー・マクラーキン師を初めて知ったのは今から五年ほど前、アメリカに住む父親が一本のビデオテープを送ってきた時でした。そのビデオには、彼がステラー賞にゲスト出演した時のテレビ放送が録画されていました。

 前年にリリースされた2ndアルバム”Live in London”から大ヒットした曲”We fall down”を歌ったわずか五分ほどのステージでしたが、油注がれたパワフルな歌声と全会衆を神の臨在のあるところに導き入れるような賛美リードに感動を覚えました。またアメリカにおいて地上波レベルで主の臨在が全国民に行き届いていることにとても興奮した覚えがあります。

 それからというもの、そのビデオでドニー師が出演している部分は何十回何百回見たかわかりません。特に自分が賛美の奉仕をする前など、特別な油注ぎが必要なときはいつも、そのビデオを食い入るように見て主の臨在を仰ぎました。

ミラクル

 自分にとってドニー師は遠いあこがれのスター的存在でした。二〇〇三年の夏、ニューヨークで開かれたベニー・ヒン先生のミラクルクルーセードに妻と参加した時のことでした。突然現れて賛美のリードを始めたのが、私たち夫婦の耳によくなじみのある歌声、そうドニー師だったのです。予期せぬ出来事に驚きましたが、実は私たちにとってそれ以上に大きなミラクルがその晩起きました。

 集会が終わって妻と車で帰宅する途中、”Bagel”と書かれた看板が出ているサンドイッチ屋を通り過ぎようとしたとき、ふと彼女がその日の昼中にベーグルを食べたいと言っていたことを私は思い出しました。「寄っていく?」と誘い店に入ったのですが、ベーグル売り場を探している私に、妻が「ねえ、写真撮っていい?」と聞いてくるのです。

 なぜサンドイッチ屋の写真なんか撮りたがるんだろうと思いつつ「いいよ」と軽く流したのですが、「違うってば!」と言って彼女は興奮気味に店内のお菓子売り場を指差しました。

 何のこっちゃ、と思ってお菓子売り場を見てみると、背の高い男の人がどのクッキーを買おうか真剣に悩んでいる姿があります。よく見てみたら何とドニー師ではないですか! 

 「ぬおおおおっ!」と、思わず店内に響き渡るほどの大きな声を上げてしまいましたが、思い切って彼に近づいて声をかけてみました。彼は大きな集会の奉仕後にもかかわらず、とてもフレンドリーに接して下さいました。ぜひ日本に来てください! とお願いして私の連絡先を渡しました。それから彼はたまにEメールを送ってくださるようになり、後に彼の教会に行く機会も与えられました。牧師室にまで招いてくださり、一緒に日本語で賛美したり日本の現状を話すこともできました。

イエス・キリストの栄光が

 「アニメと油注ぎの二つ以上に好きなものはないよ!」ある時彼が言った言葉が忘れられません。ブラックゴスペルがスピリチュアルである理由が、ただ主から与えられる油注ぎにあると言っても過言ではないでしょう。聖霊の働きが全面にクローズアップされる時、私たちの存在は透明になり、イエス・キリストの栄光だけが映し出されます。もはや誰がスター的存在かどうかではなく、キリストのからだとしての認識が瞬間的に御霊によって教えられるのです。

 ドニー師と出会い、とてもフレンドリーな彼が大好きになりましたが、何よりも主の臨在に会衆を導き入れる油注ぎが、彼を通してイエス・キリストの栄光を大胆に現している姿にいつも励まされます。今回の彼の来日を通して、主イエスキリストの御名が大胆にあがめられることを期待します!