スポーツミニストリーの挑戦 第8回 日本のスポーツミニストリーの歩み

蔦田聰毅
インマヌエル堺キリスト教会牧師
スポーツネット関西/大阪・主事

新しい年を迎えます。年明け早々、サッカーのアジア杯があり、女子W杯もあります。秋にはラグビーのW杯が日本を会場に開催され、スポーツ愛好家たちも忙しい年になるでしょう。そんな年の初めに、少し日本のスポーツミニストリーの歩みを振り返ってみましょう。
今回の内容は、二〇〇二年の「日韓W杯伝道・ゴール2002」を契機として始まった「スポーツネット」の代表、米内宏明牧師(国分寺バプテスト教会)がまとめられたものに多くを負います。
各地域の教会で、随分前から「スポーツを用いた交わりや伝道」は行われていたと思います。私が育った教会でも、毎年恒例の青年会VS壮年会のソフトボールは楽しみでした。それが地域単位・超教派として最初に行われたのは、一九九八年の長野・冬季オリンピック大会にかかわる『長野オリンピック伝道協力会(NOEC)』だったと思われます。
ある宣教師から「オリンピックの機会にスポーツ伝道をしよう」と声をかけられた姫井雅夫牧師(日本基督教団赤坂教会)が、長野近辺の牧師たちを集めて会合を開いたとき、最初の反応は「えっ? スポーツ……伝道? スポーツは福音や教会から人々を離れさせるもの。それを使って伝道するって、どういうこと?」という驚きの声だったそうです。しかしNOECは、正村八重子牧師(日本同盟基督教団長野福音教会)を会長に、顧問に羽鳥明師、舟喜信師を立てて発足し、近隣協力教会二十七教会、個人一一三名、海外十二団体が、長野・冬季オリンピックを囲んで協力し、さまざまな形で伝道活動を展開しました。
その後、二〇〇〇年のシドニー・オリンピックを前に、数名の牧師などからなる日本の使節団がシドニーを訪れ、国際的なスポーツ宣教団体と交流を持ちました。この年、二〇〇二年の「FIFAW杯」のための「ゴール2002全国実行委員会」が組織されました。
試合会場のある全国十都市それぞれに地区委員会が立てられ、地域教会の協力で積極的な活動が展開されました。韓国側からも積極的な宣教協力があり、在日韓国人と韓国系教会の多い大阪では両国の牧師・宣教師が一つの委員会を組織して働きが進められました。十か国語が一冊になったルカの福音書の分冊も製作され、国際的な色彩の強さを意識させられました。配布された福音トラクトやCDは百万部を超えます。ホームページには毎日五百件を超えるアクセスがあり、これは日本のスポーツ宣教の発展にとって、画期的なイベントでした。
すでに日本で活動していた英国系のAIS(Ambassador in Sport)のサッカー宣教チームが日本を縦断し、韓国からはKリーグ所属のプロサッカーチーム「仁川ハレルヤ」がおもに静岡と関西地区で活躍。米国の学生宣教チーム「シーホース」も七年間の名古屋での活動を終えて大阪、山口、静岡へと働きの場所を拡大させ、現在まで毎年来日しています。
総動員伝道の姫井師はSOJ(Sports Outreach Japan)としてAIS窓口などの働きを展開し、また「日韓W杯伝道・ゴール2002」を契機として、W杯の後もスポーツミニストリーを続けていこうと、「スポーツネット」が誕生しました。それと関連して、神奈川県横浜市には本郷台キリスト教会を母体とする少年サッカーチーム「エスペランサ」が、関西には「シーホース・インターナショナル・サッカー・クラブ」が設立されました。
二〇〇四年のアテネ・夏季オリンピックでは、その前年に日本の使節団がアテネを訪れ、ACEカンファレンス(スポーツミニストリー国際会議)に参加しました。その頃から、ISC(国際スポーツ連合)と情報共有などの連携が始まりましたが、まだ日本には、各国のように国を代表する全国的なスポーツミニストリーの組織がなく、十分な国際的パートナーシップを持つには至りませんでした。けれども、徐々に各地域教会でもスポーツミニストリーが認知され始め、国際的なメジャーイベントで展開される現地の宣教活動に、個人的に参加しているかたがたもあります。
スポーツ宣教師たちの来日や、日本からのスポーツ宣教師派遣も始まりました。二〇一四年春には、二〇二〇年開催の東京・夏季オリンピックを画期的なスポーツ伝道のステップとすべく、国内の関係者が一同に会する「日本国際スポーツパートナーシップ(JISP:Japan International Sports Partnership)」が興され、日本のスポーツミニストリーは着実に進んでいます。

全国のスポーツミニストリーで、相互協力できればと思っています。情報提供をしてくださり、
ありがとうございます。Email : publish@wlpm.or.jp「スポーツミニストリー情報」宛
シーホース・サッカーインターナショナルクラブのHP
http://www.seahorsejapan.com/