こころに写るもの 12 待つのか、踏み出すのか

こころに写るもの12
岩渕まこと

 待つのか、踏み出すのか今年一年を振り返ってみると、8月に旅をしたバングラデシュの事が頭に浮かんできます。なぜ私がバングラデシュへ行ったのかというと、ワールドビジョンのアソシエートアーティストをさせていただき、バングラデシュのお子さんをサポートしているからです。みなさんに子どもたちの支援のお願いをしておいて、自分が現地にすら行った事がないのでは話にならないなと思ったわけです。バングラデシュは世界の最貧国のひとつで、人口の七割が貧しい生活をしています。さらに三割の人はウルトラプアーと呼ばれていて、一日に一度食事が摂れるかどうかという暮らしをしています。気候はというと、私が訪ねた8月は雨期のまっただ中です。実に湿度が100%。ちょっと意味がわからないですよね。後でお聞きしたところによると、空気にこれ以上水分が混じれない状態が湿度100%とのこと。後は水滴になるしかないのだそうです。空港を出た時に感じた空気の重さを忘れる事ができません。さて、生活環境が快適とはいえないバングラデシュでの滞在でしたが、気がつくと日本より元気になっている自分がいました。何不自由ない暮らしをしている日本では時々ため息をついてしまう私が、バングラデシュでは生き生きとしていました。ある方がこんなことを教えてくれました。「癒されることを求めて待っていてもだめなんですよ、自分から踏み出していけば癒されますよ」。まるで私のバングラデシュ体験のことのようです。待つのか、はたまた踏み出すのか。新しい年を目前にして悩ましいテーマの登場だなと思います。