天国へのずっこけ階段 第5回 おてもやんメイクで

松本望美
北朝鮮宣教会所属/韓国在住

 4年前、クリスチャンのスポーツ選手の家に遊びに行った時のこと。彼女はオリンピックにも出たことのある30代のシングルで周りの人も認める熱心なクリスチャンである。「いつも試合のたびに、神様、優勝させてくださいって祈ってたんだけど、それってエゴだって気がついて。悔い改めたら、神様が祝福してくださって優勝したこともあるの」と証しをしてくれた。

 そんな話を聞きながら、壁に大きくかかっている彼女の中学生時代の写真を見た。あれ……? 顔がちがう! 中学生時代の彼女の目は、一重で細い目をしているが、目の前にいる彼女の目は、ばっちり二重だ。「写真と顔がちがうね」と言うと「ああ、整形して二重にしたの」とあっけらかんと言う。さらに彼女は、「この整形は高い整形でね、10万円もしたの。だから、ほら、すごくナチュラルな二重になっているでしょ? ソウルでも有名なお医者さんにしてもらったから」とほほえんだ。

 韓国に住んで数年すると、教会内でも整形している人が多いのに気づいた。ある日、「望美宣教師、お祈りしてもらいたいことがあります」とひとりの大学生が寄ってきた。「実は、明日、鼻を高くする手術をするんです。二時からなので、合心祈檮をお願いします」と言う。「整形なんかしなくても、十分かわいいのに」と言うと「女性として神様が造ってくださったから、もっと女性として美しくね!」と言う。「神様が造ってくれたから、そのままでいいのよ」と言うと、「私が喜んで生活できることを神様も喜んでくれていると思います」と言う。国によって聖書の解釈が違うのか……??

 また、ある人には「あのー、私、目を二重にしたんですけど、気がつきませんか?」と言われ、「え? そうなの?」となぜか私がきまずい感じで答えると、「せっかく綺麗になったのに、ちゃんとほめてくださいよ!」と怒られる。私も冗談で「じゃあ、私も整形しようかなー?」というと、彼女に「望美宣教師は、整形よりも、まずはやせる努力をしてください!」とまたもや怒られる。

 見た目重視の韓国では、宣教師も服装や身だしなみが問われる。私が精一杯化粧して礼拝にのぞんでも、女性の執事から「望美宣教師、お化粧ぐらいして来てください!」と注意されることもしばしば。「おてもやんメイク」で行かなくては認められないのか?

 最近そんな私も、整形の見きわめにはかなり詳しくなった。電車では、「この人、ナチュラル手術だから10万円コースだ。こっちの人は、縫い目がわかっちゃうから安いね」とか「これ失敗かも?」と思える二重にも出くわす時もある。整形していない女性に出会えたときなどは、「あなたは、えらい!」とほめたくなる。相手はほめられてもうれしくないと思うが……。