矛盾の中の真実

福音点字情報センター協力委員長
影山範文

私は、2023年7月末に間質性肺炎で緊急入院を余儀なくされました。入院期間は2週間ほどだったのですが、入院と聞いて駆けつけた妻は、肺炎の検査や治療の危険性について、医師からのかなり厳しい説明を聞かされたと、後になって知りました。
治療のためにステロイド剤を使いました。そのためにさまざまな副作用が出ました。何より驚いたのは、食欲が増して病院の食事がおいしくなったことです。また、興奮状態で眠れなくなったり、あるいは、鎮静的になって、寝すぎて朝食で起こされたり、さまざまでした。
眠れないでいると、あらぬことを考えてしまいます。自分は本当に治るのか。退院はできても肺炎が再発することはないのか。高齢者の間質性肺炎は原因不明だというけれど、そうであれば予防もできない。自分は遠からず生涯を終えるのではないか。主の再臨の時、神と信仰の仲間たちに本当に会えるだろうか。そんなことをとりとめもなく考えるのでした。
そんな時、マルコの福音書9章のみことばが心に浮かびました。息子の悪霊を追い出してほしいと願った父親に主が語られたみことば、「できるなら、と言うのですか。信じる者には、どんなことでもできるのです」(23節)に対して、「信じます。不信仰な私をお助けください」と叫んだ父親のことばでした(24節)。この叫びには矛盾がありますが、そこに真実があるのです。「信じます」なら「不信仰」ではありません。でも不信仰を隠せないのです。私は自分に信仰があるから信じているのだと思っていました。しかし、信じているようでも本当に信じ切っているかと問われると怪しいものがあります。本当の信仰は自分の無力さを認めて「お助けください」と、すべてを主にお任せするところにあるのだと示され、心に平安を得たのでした。

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『心の窓を開いて 五感、それは神の贈り物』
堀 肇 著

月刊誌「百万人の福音」の連載の単行本化。堀肇氏が亡くなる直前まで気にかけ、加筆した。外からの情報の入り口、つまり「心の窓」となる「五感」。心の健康を育てる秘けつ、聖書に記された「五感」の世界にも言及。疲れきった現代人へ注がれる神様の恵みのメッセージ。
点字版 全1巻(BES版あり) 800円/墨字版 880円

会計報告 2023年7月1日~2023年9月30日
■収入の部

献金 452,093
点字文書頒布収入 57,664
合計 509,757
■支出の部

印刷費 108,180
頒布活動費 505,081
事務局費 107,263
合計 720,524
次期繰越 -210,767
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