書評books 生きる力を優しく与えてくれる一冊
『ことばのシンフォニー』
森祐理著
B6判・160頁
定価1,650円(税込)
いのちのことば社
元 淀川キリスト教病院 チャプレン 窪寺俊之
福音歌手の森祐理さんが『ことばのシンフォニー』を出版されました。シンフォニーのように七つの楽器の名前が一章から七章まで付けられているオシャレな本です。Ⅰ バイオリン《愛・優しさ》、Ⅱ チェロ《命》、Ⅲ フルート《希望》など音楽好きの森さんの趣向がいっぱいです。
ヘレン・ケラーの家庭教師アン・サリバンの、「人の唇からあふれる微笑みを自分の幸せと感じられる人間に私はなりたい」という言葉が引用されますが(一〇頁)、その言葉とともに、人を明るくし、平和にし、希望を与える人になりたいという森さんご自身の生き方が伝わってきます。
この本は、森さんがラジオ関西の番組「モリユリのこころのメロディ」の「ことばの花束」のコーナーで取り上げた古今東西の名言を通して、ご自身の証しを書かれたものですが、ここに登場するのは、実に多彩な人たちです。明石家さんまさんの「生きてるだけで丸儲け」(三七頁)、左手のピアニスト智内威雄さんの「個性は、弱点の中にある」は、「将来を嘱望されていた智内さん。病を発症し、右手の機能を失ったときは、頭が真っ白になり、一時は抜け殻のように過ごしていたそうです。それでも、あきらめきれず再びピアノに向かうようになります。そして左手だけで演奏するピアノ曲に出合うのです。左手のみで弾いた室内楽の卒業試験では、満場一致で最優秀成績を修め、今や演奏家としてだけでなく、教育者としても活躍しています」(六四頁)。森さんの心を動かしたいのちの言葉は、私たちの心をも感動させてくれます。
これらの言葉は、病院のベッドで治療に励んでいる人にも、入試を控えて頑張っている受験生にも、高速道路を夜中走っている運転手の人にも、生きる力を優しく与えてくれるでしょう。
お母様との対談「読書は世界を広げる」もあり、内容は非常に豊かです。森さんのお母様への感謝や優しさがあり、森さんのお人柄が伝わり、背後にキリストに生かされているという強い証しが伝わってきます。ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思います。