書評books 教会のこれからの進むべき方向性を示す好著
『教会の使命の再確認』
内藤達朗著
B6判・定価770円(税込)
いのちのことば社
聖契神学校校長 関野祐二
二〇一〇年十月のケープタウン決意表明、五か月後の東日本大震災と原発事故を契機に、日本の福音派教会は包括的福音理解と包括的宣教を推し進めてきたが、両者は「個人的魂の救いに特化した伝道至上主義から、神のかたちの回復に伴う被造物管理の使命遂行へ」(創世記一・二六~二八参照)と集約されよう。忘れもしない、二〇一三年六月の日本福音同盟(JEA)総会閉会礼拝で、著者は「教会にはこの世界を治める使命がある、その使命を果たすために救いがある」と語り(JEAニュース四四号巻頭言「福音理解の再確認」)、評者を含め出席者に強い印象を与えて、進むべき方向性を示した。以来、一貫して著者が追い求めた、再確認すべき「教会の使命」が本書には整理されている。だから、本書のタイトルは従前の一般論と別ものなのだ。
本書はまず、著者の所属する教団の、社会との関わりの歴史をひも解くことから筆を起こす。大嘗祭と天皇制、靖国神社問題と戦責告白を経て、教団総会における今後取り組むべき課題には、社会や世界の課題が列挙されている。これが次章の聖化論刷新へと結びつき、本書のタイトルが登場。伝道特化が教会成長の自己目的化をもたらした歴史への反省を踏まえ、創世記一・二六~二八で命じられている被造物管理/支配という使命遂行のためにこそ、伝道と救いがあると図式化される(二七頁)。
このパラダイム転換は、仕事に対する考え方や社会における証しに、重大な変化と聖化の恵みに生き続ける祝福をもたらし、結婚や信仰継承、地域社会における教会のあり方も刷新されると著者は言う。加えて、政治・経済・環境に取り組む触媒ともなり、「世界の祝福のために『仕える』存在」(三八頁)としてのキリスト者像が浮かび上がるのだ。
最後に著者は、教師・医療介護従事者・公務員・企業人・収穫者など個別の存在がどのように教会の使命を果たし得るか、提言をして本書を閉じる。研究者や芸術家、スポーツ選手はどうだろうか、と想像の翼を広げた。