書評books 何度も神様のストーリーを追い 聖書全体を見る視野が養われる

キリスト者学生会 中国地区主事 鈴木俊見

 


『聖書が深まる10の扉 不可解を乗り越え、福音に生きるために』
原 雅幸 著
B6判・定価1,650円(税込)
いのちのことば社

 

前著『聖書が解る10の扉』(いのちのことば社)が出版されることを知った時、「こういう本を学生たちといっしょに読めたらいいな」と思いました。私はふだんキリスト者学生会(KGK)の主事として働き、学生たちといっしょに聖書を読み、分かち合う機会が多くあります。クリスチャンホーム出身の学生や教会学校に通いながら成長してきた学生たちも少なくありませんが、そういう学生たちと分かち合う中で、聖書の個々の箇所のストーリーを知ってはいるものの、聖書全体のストーリーとしてつながっていないという学生が少なくないことに気づかされていました。
そういう学生たちと何度か『聖書が解る10の扉』を読んで分かち合う読書会をし、学生たちが、聖書が解っていく姿を見てうれしく思いました。ですから、その続編とも呼べる『聖書が深まる10の扉』を心待ちにしていました。
本著の各章の内容についてはぜひお読みいただければと思いますが、この本の優れているところは、前著と同じく、ひとつのテーマに沿って何度も神様のストーリーを追っていくことにあります。そうやって全体を違うテーマで繰り返し追っていくことで、聖書全体を見る視野が養われていき、聖書が解り、深まっていきます。特に本書で取り上げているテーマ(結実・都・王・宥め・安息・聖絶・神の会議・解放・裸の恥・いのちの水)は、どれも重要なもので、ここを理解しておけば! というテーマになっています。
そうやって聖書全体が解り、深まっていくことは、聖書通読の助けともなるでしょう。私がふだん接している学生たちは、聖書通読にチャレンジしますが、難解な箇所やテーマにぶつかるとき、頓挫してしまうことが少なくありません。しかし、本書のように何度も神様のストーリーを追っていると、自分が知っている箇所とのつながりが見えてきて、聖書通読の「壁」を乗り越えることができるのではないかと期待しています。
そのようにして、本書によって聖書が深まった読者たちが、聖書そのものに向かっていく助けともなることを願っています。