特集 視野を広げてくれた窓

イラストレーター みなみななみ

 

「百万人の福音」があって今の私がいる。大げさじゃなくて、ほんとです。
八〇年代、地元の小さな教会に通いはじめたものの、知らないことばかり のキリスト教。「百万人の福音」という雑誌の窓を通して、視野を広げさせてもらった。美大を出た私は、出版の仕事がしたくて、「百万人の福音」編集部に営業に行った。今思えば、当時の絵も内容も、思春期中二病みたいな代物で、とても使えなかったのだが、「百万人の福音」編集さんは、姉妹誌の若者向け「One Way」を紹介してくれ、「ヨナ子」というペンネームで一年連載、迷いやぐるぐるを好きに書かせてもらった。
九〇年代、宣教団体のボランティアでアフリカにいた時は、現地が面白すぎて「これを記事にしてみんなに知ってほしい!」と、「One Way」の担当さんに手紙をアフリカから送った。すると「One Way」は廃刊しており「百万人の福音」に手紙が転送され、なんと海外宣教ボランティア体験記の連載が決まった。
編集部で、「海外宣教の記事も良いが、そのあとは『ちびまる子ちゃん』みたいに誰でもが共感できるような漫画で、あなたの救いの経験を描いてほしい」と言われ、証しを漫画に描くことにもなった。ペンネームはちびまる子ちゃんの作者を真似して、ひらがな六文字「みなみななみ」が誕生した。
その漫画は『小さな門につづく道』(一九九七年)として後に書籍化もされ、多くの方が読んでくださった。その後も「百万人の福音」で、その時々の思いや、悩みを自由に描かせてもらっている。「ななさんぽ」の連載では、現編集長と一緒に福祉の現場を取材するうちに神様の愛に深く深く触れ、自分の人生観が根こそぎ変わる三年間となった。
ある数年間は、カラーページに好きなイラストを描いて聖書のことばをななみ風に言い直した(翻訳ではない)文を添えた「ヘブンズドロップス」が連載された。その絵と文のスタイルは今も続き、シリーズ化された「日めくり」や、ここ十年ほど行っているみなみななみイラスト展の原点となった。「百万人の福音」がなかったら「みなみななみ」はいなかったし、今の仕事の八割は存在しなかった。何より、神様の愛を深く学ぶ機会もなかっただろう。九〇〇号おめでとう!